L⇔Rのディスクレビュー。だいぶ昔に書いたもの。
とりあえずは、オリジナル・アルバムのみ、です。
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1st Mini Album / 1991.11.25 / PSCR-1039
5000枚限定で発売されたデビュー・ミニアルバム。戦慄の「Lefty in the Right」への序曲と呼ぶには、その完成度の高さは圧倒的。小難しい音楽理論をサラリと飛び越えた、まさに右脳による右脳のための音楽。耳の肥えたポップス志向リスナーに与えた衝撃は想像に難くない。
1st Album / 1992.4.25 / PSCR-5167
戦慄のデビュー・フルアルバム。このアルバムを初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。散りばめられた甘美で哀切なメロディー。洋楽のエッセンスを高度なセンスで解釈し、偏執的とも言える愛情を注ぎこんで再構築してみせた、'90年代ジャパニーズ・ポップスの分水嶺となった大傑作。しかし、今後名作を量産していく彼らにとって、この作品ですら単なる一里塚でしかなかった。初回限定三方背BOX仕様。'97年に新装再発(PSCR-5294)され、花井肇氏によるライナーノーツが追加された。限定アナログ盤もあり(PSJR-9104)
2nd Album / 1992.11.16 / PSCR-1063
衝撃のデビューを飾ったアーティストにとって、2作目というのは鬼門である。しかし、さすが天性の無邪気さとでも言おうか。そんなジンクスなど全く意に介さず、彼らはまたもや完璧なアルバムを作り上げてしまった。この作品に収められた歌と音楽がいまに伝えるものは、時代の空気感などという大げさなものではなく、アーティスティックな野心と天才の閃き、そして奔放な瑞々しさでしかない。だからこそ、聴く度に異なる表情を見せる永遠のマスターピースと成り得たのだ。'97年に再発(PSCR-5295)され、能地祐子による各曲解説が追加された。限定アナログ盤もあり(PSJR-9105)
3rd Album / 1993.6.25 / PSCR-5021
限定発売だった「L」収録曲に、プロモ盤「R」からの楽曲と最新シングルを加えて発売された企画アルバム。曲間にDJナビゲートやジングルを挟むことで、まるでノンストップラジオを聴いているかのような構成を作り出した。この手法はすでに山下達郎「COME ALONG」や、角松敏生「SUMMER TIME ROMANCE」等で実践されており、決して珍しいというわけではないが、複雑でデリケートな楽曲が粒揃いのこの作品はまるで宝箱のフタを開けたようなきらめきを放っている。ここでしか聴けない既発曲のバージョン違いが収録されているのも、ファンなら見逃せない。残念ながら、CD帯の『POPN ROLL』というユニークなジャンル表記は、この作品で見納めとなった。
4th Album / 1993.12.20 / PSCR-5075・5076
前作「LAUGH+ROUGH」がブリティッシュ・ロックに対してのオマージュだとすれば、ここで全編通して貫かれているのは、アメリカン・ポップスへの憧憬である。そのドリーミーな感覚を、彼らなりの解釈で見事に昇華・発展させてみせた手腕に、最高傑作との呼び声も高い。時代の変化や特質に決して左右されない魔法の調べが刻まれた珠玉の作品である。1枚に収録できるボリュームながら、あえて2枚組として発売。A面とB面をひっくり返しながら聴くレコードのように、このアルバムも聴いてほしかったとのこと。そのアナクロな感覚(思い付き?)も遊び心に溢れていて、実に彼ららしい。'97年には、曲順はそのままで1枚ものとして再発(PSCR-5297)。海野祥年、朝妻一郎、萩原健太、各氏によるライナーノーツが封入された。限定アナログ盤あり(PSJR-9106)
■SIDE-A
Mini Album / 1994.04.25 / PSCR-5041
4thアルバム「LAND OF RICHES」から4曲を抜粋し、各バージョン違いを収録した企画盤。帯には「L⇔Rファンは二度楽しむ!」とコピーが躍る。各曲ごとの詳細については、びっくりコンテンツ内「バージョン違い検証」を参照のこと。
5th Album / 1994.10.21 / PCCA-00641
ポニーキャニオン移籍第1弾アルバム。楽曲は一層バラエティに富みながら、アルバム全体に統一性を感じさせるのは、絶妙に散りばめられた'60年代オールディーズのフィーリングによるものか。各メンバーのソングライターとしての躍進とともに、黒沢健一もマスターピースと呼べる名曲を数多く生み出し、ポップスという枠組みの中で脈打つ、彼らの多様な音楽性を窺い知ることのできる名盤となった。初回限定2枚組。通常盤は曲順を変更して1枚組として発売(レビューは2枚組の曲順に従った)。限定アナログ盤あり(PCJA-00007)
■FACE-A
6th Album / 1995.12.16 / PCCA-00845
ポップスのフィーリングを失うことなく、メンバー3人が一体化して繰り出す力強い音が印象的な作品。“KNOCKIN' ON YOUR DOOR”、“BYE”、“GAME”等、ヒット・シングルを多数収録。そのコマーシャリズムの陰で、彼らの閃きに満ちた複雑な陰影を持った才気がやや後退した感は否めない。しかし、非常に優れたポップアルバムではあることに議論の余地はなく、彼らの高い音楽的資質をストレートに実感できる名盤である。初回三方背BOX仕様。限定アナログ盤あり(PCJA-00011)
7th Album / 1997.4.16 / PCCA-01097
現時点でのスタジオ最新作。メンバー各々の嗜好が楽曲に色濃く反映され、個性の違いがはっきりと顕在化した。アルバム全体の統一感という視点から見れば、この作品は決してまとまっていない。しかし、それぞれの曲の完成度は非常に高く、前作で後退したかに思えた才気がここにきて再び爆発。そして、もはや神掛かりとしか言いようのない黒沢健一のポップ・センスが凄すぎる。この名盤を栄光の歴史の片隅に置き忘れてしまってはいけない。初回限定デジパック仕様。限定アナログ盤あり(PCJA-00021)