:: びっくり日記

TOUR without electricity 2009@東京グローブ座

2009.12.05

追加公演@東京グローブ座。行ってきました。

大まかなセットリストやMCの内容は世田谷とほぼ同じです。
ライブの進行や楽曲の印象などは世田谷公演レポに書き尽くしました。
もう僕が語るべきことはほとんどないんじゃないかと思うんですが、いくつか順不同で・・・。

▽ 7Voice
やっぱりこの曲がL⇔Rで一番好きだーっ。たぶん、この先もずっと。
どうしたらこんな曲が作れるのか本当にナゾ。でもそのナゾは解こうとも思わない。
解けてしまうナゾはつまらない。ナゾはナゾのままでいい。たくましく育ってほしい。

▽ REMEMBER→EQUINOX→Northtown Christmas
夏→春/秋→冬の3連コンボは強烈!
「Northtown Christmas」ではスクリーンに雪が降る映像効果。きれいでしたね。
「EQUINOX」も「Northtown Christmas」も、1994年のEQUINOXツアー以来15年ぶりの生演奏。

▽ 先生の音頭で遠山さんの誕生日を祝う
12月2日は遠山さんの誕生日ということで「Happy Birthday to You」をみんなで歌ってお祝いです。
1回目は声が小さくやり直し、2回目はバッチリ。「みんなと一緒に歌いたかった!」とご満悦の先生。
遠山さんも「恐縮です。二十数年生きてきてこんなことは初めてです」と感激の面持ちでしたが、
もしかして「二十数年」って、遠山さんさりげなくボケました?先生は完全にスルーしてましたけど(笑)

▽ 新大久保の韓国料理店に打ち上げに行くという話
「ウォンに両替しないと」と真顔で言う遠山さんに、「いくら俺でもだまされない!」と黒沢先生(41歳)

▽ 販促活動
「1年が経つのはあっというま。アルバム出たのは今年だっけ?という感じ」と先生。
さらに「新しいことと古いことがゴチャゴチャで、もう何がいつあったのかよくわからない・・・」。
「・・・そこでカレンダーですよ!!」とおもむろにグッズ宣伝開始。なるほどそうきましたかー!
先生らしからぬ巧みなトーク展開力に、遠山さんも「いまのはうまかったねぇ」と感心することしきり。

遠山:「冒頭のMCを聞いて今日はダメかと思った」
黒沢:「なんでですか?」
遠山:「同じ単語10回くらい言ってるし」
黒沢:「あーでも僕はそれが普通ですから」

▽ SOCIETY'S LOVE
エンディングのアドリブが、良い意味で黒沢健一の「野蛮さ」「獰猛さ」を象徴しているように思います。
この曲のように激しく野心的な楽曲があり、また一方で穏やかでリリカルな表現をする楽曲もあり、
硬軟取り混ぜた大きな振り幅を楽しめるのが、先生のライブの魅力のひとつではないでしょうか。

▽ クロッケン・ウォーク?
たしか「SOCIETY'S LOVE」の間奏で熱くギターストロークしてるときだったと思うんですけど、
ぐっと腰を落とした先生が「中腰ガニ股スタイル」のまま、遠山さんの方へ横跳び移動しませんでした?
一瞬の出来事でしたが、インパクトは強烈でした。ひょっとしてダック・ウォークの一種なんでしょうか。
その光景が目に焼き付いて離れないので思わず絵に描いてみました(笑) 目撃情報求む!


▽ What is this song?
アルバム「first」リリース時の未発表曲。世田谷に続いて聴くのは2回目なんですけど。超・名・曲!
イントロ、サビ前、そして歌伴と、楽曲全体を通して弦アレンジが冴え渡っています。一切ムダがない。
ややタイプは違うけど、Science Ministry「Sweet Wondering」の祖形かもしれません。早期CD化を切望。

▽ GAME
間奏の<♪ウォーウォーウォウウォウウォーウォーウォー>の繰り返しが1回多く、歌と演奏がズレました。
しかし遠山さんは何事もなかったように平然とリカバリー。当たり前だけどミスしても演奏止まらないのはすごい。

▽ HELLO, IT'S ME
今回のツアーでは世田谷・大阪以外の会場でセットリストに入っていたこの曲ですが、弦カルバージョンは本日限定。
美しく深みのある弦楽の響きによって楽曲のドラマ性が何倍にも増し、穏やかな余韻をいつまでも聴き手に残します。
同じ弦アレンジでも、「四姉妹物語」の非売品8cmCDに収録されている<Strings version>とは全く異なる印象でした。

▽ God Only Knows
大阪ではWアンコールで弦カルバージョン(これも貴重ですね)が披露されたビーチ・ボーイズの名曲。
本日のグローブ座ではなんとノーマイク・ノースピーカーで演奏されました。・・・驚愕。鳥肌立ちました。
客電も点灯し、終演アナウンスも流れていたから、想定外のWアンコールであることは間違いないのですが、
果たしてノーマイク・ノースピーカーという形態は、何か思うところや意図があって決行したのでしょうか。
それとも、終演時間にシビアな劇場ゆえPAの電源が落とされており、やむなくアンプラグドになったのでしょうか。
遠山さんが「(お客さんに)聴こえる?大丈夫?」と先生に確認していたようにも見えました。この状況はいったい。
いや、しかしあの熱唱の前ではそんなことはどうでもよく、僕は硬直したままステージに視線を注ぐだけでした。

遠山さんがイントロを奏で、両手を胸の前で軽く合わせた先生が微かな微笑を浮かべたまま客席全体を見渡します。
そのまま歌に入る箇所が過ぎ、遠山さんが「あれ??」という表情で先生を見やっても、先生は全く動じる様子もなく、
静かにただウンウンとうなずいているではありませんか。感慨に浸るあまり、完全に演奏を聴いていなかったようです。

広いステージをゆっくり右に左に移動しながら、1階から3階まで、客席の奥の奥まで声を届けるように歌い上げます。
「音楽は一度聴き終わると空中に消え去り、二度と捕まえることはできない」というエリック・ドルフィーの言葉のとおり、
電気増幅されない先生の歌声は、会場の壁や床、あるいは観客の肉体にわずかな残響を残して消え去ってしまったけど、
それゆえ、あの5分間は黒沢健一にとって「完全な表現」に至ることができた奇跡の瞬間ではなかったかと僕は思うのです。

+ + + + +

TOUR without electricity 2009 ~弦カルspecial THEATER version~ reprise
2009.12.5(Sat) 東京グローブ座
SETLIST

01. Love is real?
02. 7Voice
03. PACKAGE
04. KEEP THE CIRCLE TURNING
05. September Rain
06. REMEMBER
07. EQUINOX
08. Northtown Christmas
09. TALK SHOW *
10. アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック *
11. Maybe *
12. 新曲(タイトル不明 ♪レインボー) *
13. Scene39 *
14. SOCIETY'S LOVE *
15. KNOCKIN' ON YOUR DOOR **
16. What is this song?(未発表曲)
17. WONDERING
EN
18. GAME *
19. HELLO, IT'S ME
20. Grow
EN2
21. God Only Knows *

(無印)黒沢健一 + 遠山裕 + 弦カル
* 黒沢健一 + 遠山裕
** 黒沢健一


■ THINGS CHANGE/L⇔R



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黒沢健一::黒沢健一


夢の野外ライブ

2009.12.03

夢見がちなお年頃。

「サタデーホットリクエスト」番組サイトに公開放送の模様がアップされ、先日びっくりニュースでもご紹介しましたが、
「ステージ広々~」という僕のコメントを見た友人Aさんがリンクをクリックしたところ、超寒そうな雪景色の写真が。
Aさんは一瞬、「ステージってここ!?」 と思ってしまったそうです。・・・いや、まぁ、たしかに広々としてるけど(笑)

冬の北海道、吹きさらしの野外で公開放送なんて一歩間違うと生命の危機、凍死寸前です。
しかし冬が好きな、いや、「冬しか好きじゃない!」とまで豪語する健一先生のことですから、
きっと北海道の大雪原でストリートライブを敢行する日をひそかに夢見ているかもしれません。


(イメージ図)


■ 雪國/吉幾三


> こんにちは、名古屋の黒沢ファンです。
>
> L⇔Rの初期プロデューサー、牧村憲一(海野祥年)さんのブログを発見しました。
> 現在はポリスターを退職し、ブログも更新されてないようですが、
> 「デビューアルバム「L」は実は限定リリースではなかった」など、L⇔Rに関する秘話がたくさんあります。
>
> 「毎日がイクイノックス」
> http://d.hatena.ne.jp/nov46s/


こんにちは。メッセージありがとうございます。
たしかこちらのブログは一度非公開になったはずですが、いまはまた閲覧できるようになっているんですね。
おっしゃるとおり、ここで語られているL⇔R秘話はファンにとって初めて知る内容も多く、貴重なものばかりです。
現在は別ブログを開設されている牧村さんですが、ここ最近は体調を崩されているようでとても心配です。
一日も早い全快を願っております。機会があれば津田さんとの自由大学も行ってみたいのですが。

> こんばんは、りるです。
>
> 12月2日は遠山さんのお誕生日だそうです(祝)
> 今度のグローブ座で、サプライズで「ハッピーバースデイ」なんて皆でお祝いするのかな?
> 会場中大合唱して、ケーキ出したりして・・・。ぜひやってほしいですね(私は行けませんけど)
>
> 山崎まさよし「心拍数」!!
> 私も持ってますよ。そうか、その手があったか!!!(笑)


りるさん、こんばんは。
え、僕がひなちゃんくらぶに心踊らせていた昨日が遠山さんのお誕生日だったんですか。ほえー。
グローブ座では先生がステージに堂島ロールを運んできてお祝いするかもしれません(←なんかデジャブ)
「心拍数」は面白い試みでしたね。配信限定でもいいからやってほしいです。各地のバージョン聴き比べたい。



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黒沢健一::黒沢健一


読書家ケンちゃんの日常

2009.11.11

「あー幸田文読みたいなぁ」
「え、品切れ?」
「仕方ないなぁ、幸田露伴でいいや」


■ ないものはない/カステラ



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黒沢健一::黒沢健一


FM高松「SUNSET HOUR」ゲスト出演要約

2009.11.10

本日18時からFM高松に急遽電話でゲスト出演した黒沢健一先生ですが、
高松から遠く離れた都内でも「サイマルラジオ」でリアルタイムに聴くことができました。
概要をメモしましたので、聴き逃した方のご参考になれば・・・(※文字起こしではありません)

+ + + + +

MC:森本英津子
KK:黒沢健一


電話インタビュー。先生の声がややコモり気味の通話品質。
BGMは『LIVE without electricity』から「DAY BY DAY」→「Scene39」。

MC:自己紹介をお願いします。
KK:黒沢健一です。よろしくお願いします。
MC:最近はソロの活動が中心ですね。高松はいつ以来?
KK:L⇔Rのツアーで伺った96年くらいですかね。
MC:私、そのとき会場にいました。
KK:高松市民会館でしたね。ものすごく印象が強かった。
MC:覚えて下さっているのが嬉しいですね。
KK:色々な思い出は今週末のライブ当日に話そうかと思っています。

MC:黒沢さんの音楽は古さを感じさせない。そこが素敵。
KK:当時から新しさだけ追求していたわけではないのでそう思っていただけて嬉しい。
MC:親しみやすさだけではなく、スタイリッシュさがある。いつの時代もおしゃれに聴ける。

MC:アコースティックツアーですがバンドと気持ち的な違いは?
KK:バンドツアーは音楽を伝えていく旅のような感じ。
   2人だけだと当日のコンディションの良し悪しがそのまま出る。
   お客さんにものすごく近いところで曲や自分の思いを伝えられる。

MC:今年の3月にリリースされた「Focus」。コンセプトなどはあったんですか?
KK:「NEW VOICES」以降の7年間は様々なユニットで活動していた。バンドが楽しかった。
   ソロでどんな音が出せるのか興味があった。スタイルが変わっていないことに気付いた。
   そこをみなさんに聴いてもらいたいと思ったことがアルバム制作の大きなきっかけ。

MC:楽曲提供について、自分のための曲と他人のための曲で作り方に違いは?
KK:女性の方に提供するときは声質、サウンド感でメロディーを考えたりする。
MC:湯川潮音、南野陽子、森高千里。クレジットを見て初めて黒沢曲ということに気が付く。
KK:L⇔R以前は作曲家として仕事をしていた。いまでも作家気質が残っているのかも。
MC:いまだにカラオケで「気分爽快」を歌います。名曲は時代を越えて世の中に残る。

MC:最近ハマッテいるものはありますか?
KK:読書をすごくしている。今年はツアーが2本あって、ゆっくりと本を読む時間がなかった。
MC:好きな作家は?
KK:最近は教科書に載っているような日本文学。夏目漱石や太宰治など。大人になると結構・・・

※ここでまさかのストリーミング切断!! → しばらく経ってからようやく再開

♪Grow (途中から)

MC:先ほど登場していただきました黒沢健一さんの曲で「Grow」でした。
   (以下、高松公演の告知)

+ + + + +

まだカセットテープにラジオ番組を録音していた頃、
A面とB面が切り替わるときに発生するあのブランクにがっかりしたことを思い出しました。
もし番組聴かれた方がいらっしゃいましたら、空白の時間の内容をぜひ教えて下さい!(泣)


■ 座 読書/大滝詠一



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黒沢健一::黒沢健一


TOUR without electricity 2009 | 世田谷レポ

2009.10.04

ツアー初日、行ってきました。

阿佐ヶ谷スパイダース「桜飛沫」を観るために世田谷パブリックシアターに行ったのが、2006年2月19日
次に会場を訪れるのがまさか健一先生のライブになるなんて、そのときは予想だにしませんでした。

会場に到着して物販コーナーに出向くと、ツアーグッズのTシャツ(青)にプリントミスが発見されたので、
急遽(お詫びとして)健一先生の直筆サインを入れて販売していますという内容のお知らせが掲示されていました。
さらに楽屋でTシャツにサインしている先生の写真に「アクシデント対応中!」とコピーが添えられた告知まで。
その誠実かつ臨機応変な行動力と、ハプニングすらライブの一部として楽しんでしまおうというスタッフの気概に、
思わず笑ってしまいました。何枚サインしたんだろう?楽屋の実況写真も妙に臨場感があってよかったです(笑)
今回僕はクリアファイルとトートバッグだけ購入したので、Tシャツを購入した友人に現物を見せてもらいましたが、
どうやら一部のアルファベットがほんの少しゆがんでいるらしいです。言われなきゃ全然わからないレベルでした。
直筆サインが入ると実際に着用することは難しくなるけど(洗濯で文字も薄くなるし)、ある意味これはレア物です。

まず遠山さんと弦カルの女性4人(全員美人)がステージに、続いて黒シャツ赤ネクタイにジャケットを着た先生が登場。
マイクスタンドの前で姿勢を正し、「♪すべて忘れ去り・・・」と歌い出された瞬間、僕は呼吸が止まりそうになりました。
恐ろしい難度を誇るこの名曲を、作者本人が目の前歌っているという当たり前の光景が、全く現実味を帯びないのです。
一切の楽器を持たず、ピアノと弦カルの音に寄り添いながら、ただ「歌うこと」だけに集中する全身全霊のパフォーマンス。
別世界にトリップしてしまいそうになるあの間奏も、美しい弦楽の響きによって見事に再現されました。なんという陶酔感。

自分の存在を忘れてしまうほど「Love is real?」の世界に引き込まれてしまっていたせいでしょうか、
歌い終わった後の「みなさんこんばんは!」という先生の挨拶が、妙に素っ頓狂なトーンに聞こえて可笑しかったです(笑)
そして、驚愕の1曲目に続く2曲目は・・・まさかの「7Voice」!なんかよくわかんないけど初期L⇔Rまつりに突入しましたー!
黒沢健一という天才ミュージシャンが生んだ数多くの名曲の中でも、僕はこの曲が最高傑作であると信じて疑いません。
あるときは力強く、あるときは繊細に、またあるときは雄弁な7つの声で、楽曲の世界を過不足なく表現していきます。

冒頭2曲で僕はもうかなりグロッキーだったんですけど(笑)、3曲目も容赦なく「Lefty in the Right」から「PACKAGE」!
先生いったいどうしちゃったんでしょうか。なんらかの変調をきたしたとしか思えないこの流れ。曲名をメモる手が震えます。
「ファッション!」というところで、ジャケットの胸元をバッと広げるアクションが郷ひろみのようでかっこよかったぞ!

L⇔R時代の山中湖レコーディングについて述懐する先生。曲ができず缶詰状態だったとき、ふと窓の外を見ると大きな満月が。
完全な円・球体は存在しない(でしたっけ?)というエピソードをきっかけに生まれた名曲が「KEEP THE CIRCLE TURNING」。
先日「詩のチカラ IBARA-KICK」で初演されましたが、僕は今日初めて生で聴きました。あらためて才気あふれる曲ですね。
解決してるのかしてないのかよくわからないエンディングが最高です。この中心がズレていくようなコード感がたまりません。

ここでステージ後方のスクリーンが静かに下りてきて、影絵PVを映しながらの「September Rain」。
前曲の余韻を壊すことなく次曲以降へ繋げていく、とても自然な流れのセットリストだったと思います。

夏は苦手だけど夏をテーマにした60's-70'sの曲は好き、夏を意識して作った曲をやります、と先生。
その言葉を聞いた瞬間、僕の頭に浮かんだのは「君と夏と僕のブルー・ジーン」と「STAY AWHILE」でしたが、
遠山さんのピアノがあの美しいイントロを奏で、まさかの「REMEMBER」です!今日はまさかまさかばかりですみません。
でもホントに冗談のようなセットリストではないでしょうか。他人に言っても信じてもらえないような気がします(笑)
「REMEMBER」においても弦楽アレンジは際立っていました。控えめでありながら、全編にたしかな彩りが付加されていました。
そして「♪2つの時計は・・・」の箇所では、指をそっと2本立てるあのアクションを見ることができて感激しました。
(イメージ図)

もうここまでで十分お腹いっぱいのプログラムなんですけど、さらに「EQUINOX」ですよ?もう徹底的に泣かすつもりなのかと。
先生のMCにもありましたが、一発レコーディングで知られるこの名曲。今日のテイクもそのままCD化オッケーなレベルでした。
先生の歌を聴いて感じる「うまい!」と、うまい棒を食べて感じる「うまい!」では次元が違います!(興奮しすぎて意味不明)

弦カル4名はここでいったん退場。先生は今日はじめてギターを抱えます。「ここから何曲か遠山さんと2人でお送りします」。
まずは「TALK SHOW」。かつてソロライブで披露されたときは、メロディーもラフに崩した扇情的なアレンジが印象的でしたが、
今日は比較的CDに忠実な歌い回しだったような気がします。もちろんフェイクしたりシャウトする場面もありましたけどね。

「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」では、なんとスクリーンにダウト君(?)アイネ君(?)が帰ってきました!
10年以上前の蔵出し映像をなぜこのタイミングで復活させたんでしょうか?会場の設備が可能にさせたから?

バンドバージョン(Focusツアー)、きくっちゃんと(タワレコ新宿・詩のチカラ)、ひとり弾き語り(タワレコ梅田)と、
実は遠山さんと2人の「Maybe」は今回が初披露なんですよね。優しいピアノとギターのアルペジオがきれいに調和していました。

ここで何の前置きもなく新曲が演奏されました。「♪ほにゃららレインボー」という歌い出しのメロディーは優しく柔らかく、
しかし、曲途中から禍々しく不穏な曲調に変転していくという、ポジとネガのねじれ合いのような何とも不思議な楽曲でした。
うーん、もう一度ちゃんと聴きたい!タイトル紹介はなかったので、曲名はまたもメモカぴあ待ちということになりそうです。
CD未収録の新曲「方舟」「Roch'n Roll Band」と同じく、いわゆるポップス職人というよりも、SSW的な色合いが濃い曲ですね。
黒沢健一が実現していく今後の音楽性と、その針路を占う意味でも極めて重要な1曲になるように思います。

TOUR without electricityではもはや定番となった「Scene39」から、これまたおなじみの「SOCIETY'S LOVE」になだれ込みます。
暴走特急のような激烈バージョンを基調としながら、ちょっとした歌い回しに原曲の持つ気品やエレガントさが残されていました。
今回はエンディングが長めの、Extended versionでしたね。「Satisfaction」を思わせるアドリブも出現してかっこよかったです。

遠山さんが退場してステージ上には先生ひとり。そこで唐突に投げ込まれた「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」にマジで腰が抜けました。
郭泰源の剛速球を胸元に投げられたような感じです。あ、たとえが古いですか?じゃあクルーンでもダルビッシュでもいいです。
「SOCIETY'S LOVE」の流れから手拍子を試みようとする観客の、その所作さえも自然と押さえ込んでしまうほどの緊密度の高さ。
これまで聴いたどの「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」よりも感動しました。ギターの音、息づかいまでもが心に響いてきたのです。
最後はほとんどアカペラのように歌い上げ、ギターをかき鳴らして締め。張り詰めた空気の鮮やかな開放と、鳴り止まない拍手。
より少ないことは、より豊かなこと・・・Less is More。その言葉を実感しました。今回のライブのハイライトだったと思います。

ここで弦カルもステージに復帰して、メンバー紹介。やはりストリングス・アレンジは遠山さんだったんですね。マルチな才能!

「What is this song?」は、1stソロアルバム「first」レコーディング時の未発表曲。
今回、弦カルとの共演のために曲を探していたところ、その存在を思い出したのだそうです。
なかなか曲タイトルが決まらない先生に業を煮やしたエンジニアのエイドリアン氏が、
朝昼晩「What is this song?」と問い続けたのに、結局タイトル決まらずアルバムにも収録されず。
そして先生が今回10年ぶりに部屋で見つけたテープの表書きを確認してみると、
怒りに満ちた文字で「What is this song?」と書かれていたらしいですよ(笑)
そんな経緯から「『What is this song?』というタイトルに決めました(笑)」と苦笑する先生。
11曲目に披露された新曲とは違い、こちらは流麗なメロディーの軽快なポップソングでしたね。
こんな超名曲をお蔵入りさせているのはどうかと思いますので、次のアルバムには絶対収録して下さい!

「とても大事な曲です」と前置きして、久しぶりに歌われた「WONDERING」で本編終了。
「♪こと、ばに、気付けばいい」という一部分のフィーリングだけを抜き出してみても、
レコーディングした10年前よりも格段にボーカルのコクと深みが増しているように感じました。

アンコール1曲目は「GAME」。これも2002年のNEW VOICESツアー以来、久しぶりの演奏となります。
よく覚えてないんですけど、NEW VOICESツアーで僕は呼吸が苦しくなるほど異常に盛り上がっちゃって、
「死ぬ!死ぬ!」と連呼しながら、この曲のエンディング「♪Wow Wow・・・」を歌っていたそうです(伝聞調)
そのとき隣にいたTAKE-Cくんが、7年後の今日も隣に座っているという事実は単なる偶然なのでしょうか(笑)
以上、いまはなき新宿リキッドルームでの思い出コーナーでした。あそこはめちゃめちゃ床揺れたなー。

今回、弦カルを入れてライブすると聞いたとき、真っ先に僕の頭に浮かんだ曲はやはり「Grow」だったんです。
満を持して、アンコールラストに演奏されました。歌い出して間もなく、ネクタイをクイクイっと緩める先生。
もちろんFocusツアーの「Grow」も感動的だったけど、ストリングスが追加されることで感動も倍化です。
弦カルの間奏後、再び歌に戻ってくるパートがあまりにも美しいので、いよいよ僕は涙ぐんでしまいました。
個人的には「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」と共に、本公演のベストパフォーマンスに推したいと思います。

今日のライブを一言で総括するならば、「コンポーザー」黒沢健一の才能とあらためて出会うライブだったと言えます。
その曲が書かれた時代から自由になり、とりまいていた雑音から自由になり、いま聴いて目のさめるような気持ちになる。
そんな名曲たちは、紛れも無く作曲家としての黒沢健一の才気が生み出したものなんだなぁ、という当たり前すぎる事実。
僕はいまさらながらその事実に感動したのです(同じことをかつてブライアン・ウィルソンのライブでも感じました)

さてさて、弦カルが入らない通常版「without electricity」の会場ではいったいどんな曲が聴けるのでしょう。

+ + + + +

TOUR without electricity 2009 ~弦カルspecial THEATER version~
2009.10.4(Sun) 世田谷パブリックシアター
SETLIST

01. Love is real?
02. 7Voice
03. PACKAGE
04. KEEP THE CIRCLE TURNING
05. September Rain
06. REMEMBER
07. EQUINOX
08. TALK SHOW *
09. アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック *
10. Maybe *
11. 新曲(タイトル不明 ♪レインボー) *
12. Scene39 *
13. SOCIETY'S LOVE *
14. KNOCKIN' ON YOUR DOOR **
15. What is this song?(未発表曲)
16. WONDERING
EN
17. GAME *
18. Grow

(無印)黒沢健一 + 遠山裕 + 弦カル
* 黒沢健一 + 遠山裕
** 黒沢健一

+ + + + +

以下余談。

風獅子さんをはじめ、会場でお祝いの言葉をかけて下さった皆様、どうもありがとうございました。
開演前、ハリー堀田さんのご紹介でsproutさんと初めてお会いする機会を得ました。この度はどうも失礼しました。
以前から僕はsproutさんの「言葉」に憧れていて、すごく影響を受けたし、勇気をもらうことも少なからずありました。
で、一緒にいたハリーさんにも伝わるほど、ガッチガチに緊張していた僕が発したとっさの一言が「ファンなんです!」
・・・ってどーなのよそれは(笑)
終演後には、これまた日記リンクでお世話になっているちゃんちゃこりんさんとも、念願の初対面を果たしました。
やっぱり緊張しましたが、素敵な笑顔に癒されました。遠路はるばるお疲れ様です。お祝いもありがとうございました。
というわけで、日記リンクのお友達で直接お会いしたことがないのはmayugonさんだけになりました(笑)


■ STORM IN A TEA CUP/The Fortunes



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黒沢健一::黒沢健一


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