今日は人生初の人間ドック。
昨夜20時以降は絶食でした(水とお茶はOK)
そして本日は起床時から水やガムなどもNG。とにかく何も口にしてはいけないとのこと。
・・・なにかの苦行でしょうか?
検診センターに向かうバスの中で意識が遠のきそうになり、
危うくもう少しで涅槃が見えそうになりましたよ。解脱!解脱!
受付で名前を告げ、問診票を提出していよいよ検査開始。
「ではまずお小水の検査です。トイレはあちらでございます」と、紙コップを渡されました。
んなもん出ないっつーの。当たり前だよ。昨夜からほとんど水分摂ってないんだもん。
それでもなんとか粘りに粘って少量を排出して、一番搾りを無事に提出。
視力検査は2.0と1.5でした。昔から視力だけはいいんです。視野は狭いけど。
続いて眼圧、血圧、聴力などの各種検査も順調にこなしました。ここまでは楽勝。
ところが、五臓のX線検査はちょっとつらかった。
ベッドの上に仰向けになって、おなかをベロンと出します。
お姉さんがスーパーのレジのスキャナーのような装置で、
あばら骨の下とかミゾオチとかをグリグリ押したり、こねくりまわしたり。
痛いやらくすぐったいやらで、検査終了後にはグッタリ。
そしてとうとう本日のメインイベントがやってきました。
そう、胃の検査。バリウムです。人生初のバリウム体験です。
検査待ちのスペースに、検査概要や注意事項が記載されている簡単なパンフレットがあって、
僕は明鏡止水の心境でそれに目を通していたんだけど、
一番最後にサラリと「それでは検査がんばって下さい」なんて書いてあってビビる。
普通は「それでは検査までいましばらくお待ち下さい」とか、そんな感じの文言が無難じゃない?
がんばって下さい、なんて無駄に受検者の恐怖心を煽ってるようにしか思えない(笑)
そもそも検査にがんばるとかがんばらないとかあるのかと(笑)
バリウムの前に胃を膨らますための発泡剤を飲みます。
顆粒になっているので、ノドの奥に流し込んで一気に嚥下します。
空腹のため神経が研ぎ澄まされた胃袋に発泡剤が投下された瞬間、
クワーーーーッ!と一瞬で胃袋が膨張していく様が気持ち悪いくらいリアルに感じられます。
そしていきなり大音量のゲップが出そうになるも、「我慢!口を閉じてアゴを引いて下さい!」と
担当のお姉さんに励まされ、ゲップ→飲み直しという不名誉はなんとか回避することができました。
しかしそのまま間髪入れず、使い捨てのプラスチックカップに注がれたバリウムを手渡されます。
重っ!
ずっしりと上腕に伝わるその重みに心が折れそうになりました。
「まるでセメントを飲んでいるみたいだ」とよく例えられるバリウムですが、
なるほど、その「のどごし」を味わう前からすでにセメント級の重量感というわけですか。
とにかく何も考えず、意識を空にして一気に飲み干しました。
そして上下左右へ自在に稼動する巨大な検査台に身体を預け、ようやく検査開始です。
技師のお姉さんが隣りのブースで遠隔操作しながらマイク越しに指示を出します。
「右を向いて下さい。ハイもう少し右。息を止めて。次は左です。お辞儀するように。ハイ息止めて」
色々な角度から胃袋を撮影するため、右に左に何度も自転しなければならず、僕はすっかりグロッキー。
なんだか自分がケバブやらバウムクーヘンにでもなってしまったような気がして、
「いったい僕はこんなところで何をしているんだろう」と空虚な思いが胸に去来するのでありました。
5分ほどで検査は終了し、口のまわりに付着したセメントを拭いて退室。
更衣室で着替えているときに、ゲップ暴発。人生でもっとも爽快な瞬間でした。
■ 心空/ハナレグミ