:: びっくり日記

LIVE TOUR 2009 "Focus" reprise

2009.03.31

2009.3.31(Tue)
渋谷CLUB QUATTRO

SETLIST
01. NEW WAYS TO SEE THE WORLD
02. Feel it
03. Scene39
04. POP SONG
05. Silencio
06. Maybe
07. 方舟
08. Grow
09. SOUL KITCHEN
10. Rock'n Roll
11. TOO LONELY TO SEE
12. ALL I WANT IS YOU
13. 遠くまで
14. CHEWING GUM
15. プラスティック・ソング
16. LAZY GIRL
17. Do we do
18. LAND OF RICHES
EN
19. TILL YOU SEE ME THROUGH~LIME LIGHT
20. Somewhere I can go
EN2
21. KNOCKIN' ON YOUR DOOR
22. I LOVE TO JAM



Focusツアー、リプリーズ。追加公演。会場入口にはメンバー全員のメッセージ入りポスターが貼られていて、
寄せ書き風にファンも自由にメッセージを書き込めるようになっていました(参照:公式サイト

わずか1ヶ月という短い間にも、バンドは技術面もメンタル面も少しずつ変化していくもので、
事実、各公演に遠征した友人からも、その異常なほどの盛り上がりっぷりは伝え聞いていたし、
今日のライブを観て、本当にそのとおりだと思いました。ツアー初日よりも確実に彼らは進化していました。
恵比寿(最初)と渋谷(最後)のみ参加した僕は、その進化のプロセスを直接確かめることはできなかったけれど、
バンドの成熟をリアルタイムで見守ってきたみなさんにとっては忘れられない1ヶ月になったのではないでしょうか。

客電が落ちてメンバー登場。「NEW WAYS TO SEE THE WORLD」では早くもきーちゃん暴走気味(笑)
勢いそのままに始まった「Feel it」では、ホリくんの前のめりのドラムがグイグイと楽曲を先導していきます。
年齢をタイトルにつけるとあっというまにその曲は"オールディーズ"になってしまうと笑って「Scene39」。
終盤のパートでは、きーちゃんがクラップを要求する場面もありましたね。

ドラムヘッドに描かれたロゴでしたっけ?このメンバーでツアーを回ることでしたっけ?
ちょっと記憶があやふやなんですが、とにかく先生はそれらを夢見ていたお年頃だったそうです。
さらに語気を強めて「バッグ!ポスター!Tシャツ!」と、バナナの叩き売りよろしくグッズの宣伝を始める先生。
きーちゃんは、お客さんから見えるように先生用Focusタオル(緑)を広げて高々と掲げた後、丁寧に畳んでました。
「几帳面にありがとうございます」と言いながら早速そのタオルで顔の汗を拭く先生。なんだこのやりとりは(笑)

それと、ロックンロール偏差値が低いというお話もありましたね。
どうやらツアー先ホテルでロビーに朝9時集合でも、5分前にはきちんと集まって9時3分には出発という感じらしく、
二日酔いで寝坊する人すらいないという"折り目正しさ"が先生にとってはロックンロールっぽくないらしい(笑)
たしかに今回のメンバーはいかにも優等生揃い。ほら、ヤングヤングの場合は○ーベンさんとか岡○さんとか…。

「POP SONG」のAメロでは、きーちゃんがベース弾きながら身体を左右にぶらぶらゆっくり揺らしています。
うーん、どこかで見覚えがあるなぁと思ったら、curce509の「DA・DA・DA」のときと同じ仕草ですよねこれ。
それにしてもこの曲では先生の歌が上手いのなんの。希代のボーカリストに対して上手も下手もないんですが、
ピッチは言うまでもなく、ちょっとした節回しやビブラート、メロディーの泳がせ方とか、もうたまんないです。

「Silencio」は間違いなく今回のツアーのハイライトのひとつだったと思います。
大切な決断が求められる岐路にあっては誰もが必ず静寂と向き合うことになる。
その静寂は誰にも奪うことはできないし、誰も否定することはできない。
慎重に言葉を選びながら、真剣な眼差しでそう語る先生の姿からは「伝えたい」という意志が感じられます。
いま歌っている歌の下にもうひとつ別な歌が流れていて、実はその歌のほうが大事なのかもしれない、と。

「Maybe」のイントロでは、先生ときーちゃんがにらめっこをするように向き合ってカウント。これも名場面。
サビに入るところで先生がギター間違えて演奏ストッピング!コードチェンジが難しいポイントなのでしょうか?
「今回のツアーでいつかは"やる"と思ってた。でも今までは大丈夫だったのに…。ハア、そういうことかぁ…」
と、どういうことかよくわかりませんが(笑)、ため息混じりにひとりごちる黒沢健一先生でした。テイク2は無事完奏!
あとはDVDの編集スタッフさんに良い仕事をしてもらうということで...いや、もう全部収録しちゃえ(笑)

ここでバンドメンバーは一時退場。アルバム未収録曲である「方舟」を先生ひとりの弾き語りで情感たっぷりに。
よく覚えてないんですけど、この曲の途中のブレイク(無音)パートって、恵比寿のときからありましたっけ?
「方舟」と同じく、ライブで披露されていながらアルバム未収録となった名曲「Rock'n Roll Band」と共に、
"物語を弾き語る"領域が彼の今後の大きな表現対象かもしれないなぁ、と個人的に想像しているわけですが。

遠山さん登場。ギターを持たず、ピアノと声だけの「Grow」。感情を込めて丁寧に歌う先生。強弱はっきり。
身振り手振りからも、いつも以上に「伝えたい」という思いを強く感じました。

今回のツアーメンバーの中には、curve509やMOTORWORKSやL⇔Rが混在しているのは周知のとおりですが、
先生が「curve509の人、挙手!」と言うと、中学生のように元気よく垂直に手を挙げるきーちゃんなのです。
たぶんホリくんも挙手していたのでしょうか(僕の位置からはホリくんと遠山さんは全く見えませんでした)
きーちゃんから「あなたもメンバーでしょ」とツッコミを受けて、健一先生も挙手(笑)
「魂の台所という意味のタイトルです」という曲紹介から「SOUL KITCHEN」へ。真っ赤な照明です。

そしてみなさんお待ちかねの「Rock'n Roll」。
メンバー4人の肉体と観念の激しい相克。情趣や感情の入る余地がないほどの緊張感がステージに立ち込めます。
続いて先生は「ふぅーーー」と深いため息をひとつついて、curve509のデビュー曲「TOO LONELY TO SEE」。
curve509では存在しなかったキーボードが作り出す音像は、さらに楽曲をドラマティックに演出します。
この曲の間奏を聴くと、なぜか「LIVE RECORDINGS」に収録されている「Love is real?」を思い出してしまう…。

「ALL I WANT IS YOU」前のMCでは観客にパーカッションをお願いする先生でしたが、
お客さんもメンバー→パーカッションのために会場に来てもらったのか?という不穏な流れから、
「だってパーカッションだけの人っていらなくないですか?」という問題発言につながる(笑)
もちろん世の中の素晴らしきパーカッション専門ミュージシャンの存在意義を問うているわけではなく、
あくまで「黒沢健一バンド」には不要であるというのが発言の真意でしょうけど。そりゃたしかにいらない(笑)

「遠くまで」の「♪大切な瞬間は変わらずにそこにある」の「そこ」でニクル夫妻を指差す先生(気のせいですねハイ)
「CHEWING GUM」では、明らかにきーちゃん首ふりすぎ。もげるかと思った。曲終わって出ました万歳ガッツポーズ!

ん?このあたりでメンバー紹介でしたっけ?飛ばしすぎたのか息切れしてなかなか話し出せない先生。がんばれー。
遠山さん、ホリくんと紹介が終わり、いよいよきーちゃんの番ですが、先生自ら観客のきーちゃんコールを煽りまくり、
しまいにはきーちゃん本人から「もういいって!(笑)」と言われる始末。いやはやきーちゃん人気は相当なものです。

「プラスティック・ソング」は徐々に熱を帯びてくる名曲なのですが、今回も後半の熱量は尋常ではありませんでした。
自己破壊的なスリルさえ感じられる咆哮に次ぐ咆哮。曲ラストのギターを無造作にかきむしる鬼神のようなストローク。
もはや何者かが黒沢健一に憑依して、音楽と直接取引させていたようにしか思えません。

さぁ、ここからはノンストップです。もう止まりません。「LAZY GIRL」!そして「Do we do」!
「Do we do」イントロの難解なコール&レスポンスに、オーディエンスが一瞬ついていけずキョトンとする先生(笑)
恵比寿ではAメロをだいぶ崩して、ほとんどトーキングに近い感じで歌っていたけど、今日は比較的CDに忠実でしたね。
ジェットコースターに乗っているような、あるいは空を飛んでいるような感覚のAメロに僕は「ほぼ、いきかけました」

「LAND OF RICHES」はもう言うことありません。DVDに収録されなかったら暴動が起きると思います(笑)
「Focus -LIMITED EDITION-」の予約受付は4月5日まで!(注:お支払いは注文後1週間以内にお願いします)
曲が終わってお礼を言うときの先生、ちょっとフラついてましたね。まさに全身全霊のパフォーマンスでした。

アンコール。「TILL YOU SEE ME THROUGH」で髪を振り乱しながらギターを弾き倒す先生の佇まいにゾクゾクします。
やがて残響の中からあの印象的なドラムフレーズが立ち昇ってきます。「LIME LIGHT」。低い重心と小さな狂気。
この曲が初めてソロで歌われた2001年のB-Meツアーに参加していない僕でも、そのとき演奏された「LIME LIGHT」と、
今回のツアーの「LIME LIGHT」では、全く別種の感慨が渦巻いていることはなんとなく理解できるのです。

「あなたが願えば必ず行きたいところへタッチできる」という意味のMCに続いて、名曲「Somewhere I can go」。
「サムホエア、アイ、キャン、ゴー」と一語ずつ区切るように歌う姿に、胸がしめつけられる思いがします。
間奏パートでギターストロークをしながらぼんやりと空中を見つめる「黒沢健一」。やがて曲もエンディングを迎え、
最後の一音が鳴ってスポットライトが落ちた暗闇の中で、「黒沢健一」はまだ空中のどこかを眺めていました。

ダブルアンコール。色々な理由があってずっと歌ってなかったけど、またこうしてみんなの前で歌おうと思いました、
というMCから「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」。意識して書いたおそらく初めてのメッセージソングなのだそうです。

ここでステージは終わりません。先生はギターを替え、そのまま次の曲へと突入する模様。
初めて覚えたコードはA(ジャーン!)。そしてA7を覚えたときに(ジャーン!)これはロックだと思って、
16歳のときに初めて作ったロックンロールナンバーです。そう早口でまくしたて、一気呵成に「I LOVE TO JAM」へ!
ぬおおおおお!一斉にステージ前に押し寄せる人の波!観客はモッシュに圧縮され、フロア後方は空洞化現象(笑)
さらに途中で先生がきーちゃんをセンターに呼び寄せ、ワンマイクで歌う黒沢健一と木下裕晴!きたきたきたーっ。
名古屋でもこの光景はあったそうですが、実際に生で見るとしびれます。もう細かいことはどうでもよくなりました。
混沌の中に宿る求心力こそ本物のミュージシャンの証明なのです。

完全燃焼のメンバー全員は横一列に並んで深々とおじぎ。ブラボー!

さらにアンコールを求める拍手に応えて、ビデオカメラマンと共に先生がステージに再々々登場。
オーディエンスを映しまくるカメラ。さらに先生ナメの観客ショットまで!(映画の試写会とかでよくある構図)
最後の最後に先生が謝辞を述べ、何度も何度もお辞儀をして、何度も何度も手を振ってステージを去っていきました。

嗚呼、このバンドのライブがもう当分観られないなんてもったいないというかやるせないというか切ないというか。
だけど、それ以上にツアーが終わってメンバーの散開を寂しがっているのはメンバー本人達なのかもしれませんね。

それにしても黒沢健一のライブを「分解」して考えることにいったいどれだけの意味があるのでしょう。
ボーカル○点、演奏○点、音響○点、セットリスト○点という定量的な批評は全く無意味だということを、
ライブとはそれらすべてが有機的に絡まり合った存在であることを、あらためて実感させられたツアーでした。

健一先生はじめ、メンバー、スタッフの皆様おつかれさまでした。そして、本当にありがとうございました。


■ I LOVE TO JAM/L⇔R


> ひろニクルさんこんばんは。いつも楽しく拝見させていただいています。
> そして遅ればせながら奥様ご懐妊おめでとうございます。
> 私は第五世代のiPodを持っているのですが、ロスレスの存在をこちらではじめて知り、
> 目と耳からウロコがだだもれました。音が全然違う!と感激したので恥ずかしながらメッセージを。
> 黒沢センセイ情報だけでなく豆知識(?)にもお役立ちなびっくり日記に感謝です(sproutさんにもありがとうございました)
> 気づけばクアトロライブもあと少しですね。最近少し寒いのでお体にはお気をつけください。
> Sulu


Suluさん、お祝いのお言葉までいただきありがとうございます。ベビニクルも順調に大きくなっております。
ロスレスの音質、驚きますよね。逆に言えば、普段聴いてるAACやmp3ってどれだけ美味しいところをカットしてるんだ、と。
個人的には、目だけではなく耳からもウロコが落ちまくるSuluさんにもびっくりしているのですが(笑)
自称:Focusを愛でる変態オヤジ(笑)のsproutさんは、いつも僕の知的好奇心を満たして下さる聡明な方です。
クアトロライブ終わってしまいましたよー!いまは脱力感でいっぱいですが、パンダに慰められています。

> こんばんわ。有明です。
> ひろニクルさんの日記を読んで私も賞男と呼ばれる方の本でも手に取ってみようかとおもいました。
> これがオススメだ!というのがあれば是非教えてください(笑)
> そういえば先日、天童荒太さんが執筆した「悼む人」という本を読んだのですが、これがまた奥深くて…
> 理解力がない私は三度読み直したんですけど、すごくいい作品でした。
> 是非、時間があればひろニクルさんに読んで頂きたいものです…そして感想を(笑)
>
> っと、本の話しばかりになりましたが、いよいよ健一さんのツアーも大詰めを迎えましたね!
> ひとつも参加出来なかった私はセットリストをみてニヤけるくらいしか出来なかったんですが、
> 色んな方のレポートを読んで「おお!」とか「こんな曲もか!」とかひとり呟いていました。
> まさかライブでプラスティック・ソングをやるとは!また近々ライブやってくれないかなあ、なんて(笑)
>
> 4月はリイシュー発売、ハンキーパンキーのミニアルバムと楽しみがまだまだいっぱいなのでワクワクが止まらないです。
> そしてひろニクルさんのサイトには毎回お世話になってます。ありがとうご(※以下文字化け)


有明さんこんばんは!もう一歩の惜しいところでの文字化けすみません!原因がわからないんですよね…うーむ。
堀江敏幸作品のおすすめは、今回ご紹介した「雪沼とその周辺」ですね。連作短編集ですが1作目から引き込まれますよ。
僕も「悼む人」ぜひ読んでみます。じっくり腰を落ち着けて向き合いたい作品のようですね。感想はいずれ(笑)
「プラスティック・ソング」は、オリジナルのMOTORWORKSバージョンとはアレンジも曲展開も若干異なりますが、
どちらにしてもあの後半の熱量はハンパン…いや、ハンパじゃないです!いつかライブで聴くことができたらいいですね。

> ひろニクルさん、こんばんは!はじめてこちらにお邪魔します。
> 大阪のチケットを譲っていただいたYです。行ってまいりました♪
>
> 私、小学生並の背の低さを誇っているので、
> スタンディングはいつも見知らぬ人の背中を見つめるだけで、お顔すらまともに拝めないのです(涙)
> 今回はお蔭様で、全身ガン見を堪能できライブ全体の高揚感を余すことなく味わうことができました!
> とにかく、最高すぎて言葉が見つかりませんが、久々の完全燃焼で力尽きました…。
> 翌日、念願だった握手会にも初めて参加することができ、未だ、夢か幻かといった状態に陥ってます。
>
> 今回の大阪で私の「Focus」関連イベントは終了となりましたが、これまでにない最高の体験となりました。
> 改めて、どうもありがとうございました!!東京の最終公演いよいよ目の前ですね、楽しんできてください!
>
> ライブレポ、楽しみにしています♪


Yさん、こんばんは。その節はお世話になりました。ライブのご報告までご丁寧にありがとうございます。
僕と妻ニクルの分まで楽しんでこられたようで、良い方にチケットをお譲りできたことを大変うれしく思っております。
大阪はライブもインストアも相当盛り上がったと聞いています。さすがにいまはもう落ち着いてきた頃でしょうか(笑)
追加公演ライブレポ、殴り書きのような体裁ですが楽しんでもらえたらうれしいです。これからもよろしくお願いします。

> あぁっ、やっと読めたっ!!健ちゃんのライブ@大阪まで、びっくり日記絶ちしてたんです!
> 私の携帯というかPCサイトビューワーではネタバレ回避していただいてた文字が見えてたのです。すみませんo(_ _*)o
> 今、ようやくじっくりレポを読ませていただきました。昨日の空気感が鮮明に蘇ってきましたー!
> 思わずうんうんと、携帯に向かってうなずく私を見る姪のまなざしの冷たいこと。
> 異常に盛り上がりました。ほんま、純粋な「かっこいい」「楽しい」の感情の連続でした。参加して良かったです!
> アンケートの「よく見るWEB SITE」に「びっくり電話」って書いて、FAXで送りましたよ☆
> びっくり電話ばんざい、黒沢健一ばんざーい! 昨日の勢いそのままに、おぉでした。


おぉさん、こんにちは!おぉ阪ライブ参加おつかれさまでした。ライブレポも読ませていただきましたよ◎
びっくり電話には万歳なんてしてもらう値打ちなどございません(笑) でもうれしいです。ありがとうございます。
そうそう、携帯のブラウザによって「続きを読む」が機能しなかったり、白文字が見えちゃったりするようなんです。
なんだかかえって気を使わせてしまったようですみません。ようやくネタバレ解禁となって僕もホッとしました。
びっくりニュース・日記などは遡ってゆっくり楽しんで下さいね。そして姪御さんにもよろしくお伝え下さい(笑)



メッセージはお気軽にどうぞ。

黒沢健一::黒沢健一