:: びっくり日記

マージービートの正統

2009.05.12



ブリティッシュ・ビート台風が猛威を振るう中、我慢できずに買ってしまいましたーっ!
ジェリー&ザ・ペイスメイカーズの「How Do You Like It?/Ferry Cross the Mersey」です。

英盤1st+2ndがカップリングされた、お得な2in1仕様(2on1、2for1という言い方もあり)。
この<60s 2on1>というリイシューシリーズ、ホリーズやピーター&ゴードンもあるんですが、
いずれもボーナストラックは無く、あくまでオリジナルアルバムのフォーマットに忠実な復刻なのです。
2in1はCD入替の手間が省けて便利ですね。ちなみに健一先生のソロアルバムはどれも収録時間が短いので、
「first/B」「NEW VOICES/Focus」という具合に、将来の2in1候補としては最適な部類かと思われます(笑)

CDが届く前に、iTunesに「Gerry & the Pacemakers」が何曲入っていたか確認しようと思ったら、
フォルダを探しても見つからない。おかしい。ブリティッシュのコンピレーションで絶対聴いたはずなのに。
で、よーく確認してみたら、間違って「Gary Lewis & The Playboys」のフォルダに入っていました(笑)
名前がごちゃまぜになっていた模様。でもこの時代は ○○ & the □□□□ というグループ名がやたら多いし、
そもそも、GerryとGaryの字面もよく似ているので勘違いしたんでしょうね。なんともお恥ずかしい限りです。

彼らのベスト盤や編集盤などは数え切れないほどリリースされていて、いまでも入手は容易です。
でも僕は最近、可能な限りオリジナルアルバムの形態で聴きたい、という欲求が高まってきているんですよね。
何年か前、デイヴ・クラーク・ファイヴの米盤オリジナルLPがCD化(怪しげなCDでしたが)されましたが、
そのときベスト盤ではわからない魅力に気付いたんですよね。作品毎にコンセプトやカラーもあったりするし。

というわけで、ベスト盤ではなく英盤オリジナル「How Do You Like It?/Ferry Cross the Mersey」です。
CDを再生して、まずステレオ音源であることにびっくり。ジャケ写に使用されているのはモノラル盤LPだったので。
僕はモノラル至上主義ではありませんが、この時代のステレオ録音ってどこかトリッキーな方法論だったのか、
ボーカルは完全に右チャンネルに振り分けられ、左はインストのみというように、聴いてて少し疲れるのもたしか。
きーちゃんが「Bye Bye Popsicle」のCrusin' Mixを嘆願した気持ちがいまならわかります(笑)

それにしても、ジェリー・マースデンはやっぱり歌がうまい!鼻から抜ける高音と、ときに過剰なまでのビブラート。
若々しさとか瑞々しさとかほとんど感じないんだけど、そこがまたファンにはたまらない!(笑)
同時代のビート・バンドと同じく、1stアルバム「How Do You Like It?」はカバー曲が中心です。
大滝詠一「恋するカレン」の元ネタとしても有名な「Where Have You Been All My Life」、
世界中のサッカーファンの愛唱歌「You'll Never Walk Alone」、キャッチーな「You Can't Fool Me」、
意外にアグレッシヴな一面を見せる「Slow Down」など、聴きどころはたくさんありますね。

そして、2ndアルバム「Ferry Cross the Mersey」は1stから一転、ジェリーの自作曲がほとんどを占めます。
ソングライターとしての才能が爆発、マージービート史に残る名盤という評価も納得です。収録曲すべてが名曲。

ホリーズのように神懸り的なコーラスワークはここでは聴かれないし、
アニマルズやマンフレッド・マンのように黒っぽいフィーリングもありません。
そして、言うまでもなく(失礼)ハーマンズ・ハーミッツのようなアイドル性も皆無です。
でも僕は、他のどんなバンドよりもジェリー&ザ・ペイスメイカーズを聴いているときに、
「あぁ、僕はいま60年代のリバプールにいる!」という感銘(ていうか錯覚?)を覚えるし、
純度の高いマージービートが身体の隅々まで沁み渡っていくような気がするんですよね。
これは逆に、多様な音楽性を誇示していたビートルズでは味わうことのできない感覚だと思います。

まさにマージービートの正統と呼ぶにふさわしいグループではないでしょうか。

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突然ですが、ここで久しぶりに日記リンク追加のお知らせです!
いつもお世話になっている、ちゃんちゃこりんさんの「ちゃんちゃこりん日誌」です。じゃーん。
先生関連の話題はもちろん、その他のエントリも毎日楽しく読んでますよ。今後ともよろしくお願いします。


■ You'll Never Walk Alone/Gerry & The Pacemakers


> 少々遅れた感はありますが…、
>
> HankyPankyカバー曲入り × ひできんぐオススメ + ひろニクルさん詳細情報
> =「Hums of the Lovin’Spoonful」をAmazonにて購入
>
> びっくり電話の宣伝力はすごいですねー!
> 私もGW前に注文しちゃいましたよー(笑)。ただ今、BGMで聴いています。
> このアルバム、全体的にゆる~い感じが良いですね!心地良く、疲れた心をほぐしてくれます。
> “Coconut Grove”は原曲の方が甘い感じですね♪
>
> ひろニクルさんの情報は洋楽初心者にも馴染みやすいので、安心して購入することができました。
> 買って良かったです♪ ありがとうございました!


ありがとうございます。いやーうれしいですねぇ。
でもびっくり電話の宣伝力なんて微々たるもので、すべては黒沢兄弟の神通力がなせるワザです(笑)
「Hums of the Lovin’Spoonful」は、かしこまることなく気軽に聴ける普段着の名盤だと思います。
さらにリマスター効果で各楽器の音の分離も明瞭に、細かいところまで聴き取れるようになりました。
おっしゃるとおり「Coconut Grove」は、ハンパンバージョンより甘めのニュアンスかもしれませんね。
ジョン・セバスチャンの声は、不思議な浮遊感と哀愁を生み出す唯一無二の魔法の声です。



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音楽::British Beat