:: びっくり日記

TOUR without electricity 2008 | 横浜

2008.05.26



黒沢健一@横浜赤レンガ公演、行ってきました。
セットリストとレポはネタバレになりますので、他公演に参加される方はご注意下さい。
(※6/3 ネタバレ解除しました)

2008.05.26
横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
SETLIST

01. BYE
02. Feel it
03. 新曲(♪僕らは遠くへ行くんだ)
04. SOCIETY'S LOVE
05. Rock'n Roll
06. アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック
07. 遠くまで
08. This Song
09. RAINDROP TRACES
10. Love Hurts
11. My Home Town
12. HELLO, IT'S ME
13. Bye Bye Popsicle
14. Lazy Girl
15. PALE ALE
EN
16. 新曲(♪ロックンロールバンド)
17. リトル・ソング
18. God Only Knows

+ + + + +

横浜赤レンガ。夢の続き。

満員の観客の拍手に迎えられて健一先生と遠山さんが登場です。
「黒沢健一です。たくさんお集まりいただいてありがとうございます」と、ご挨拶。
「今日やります『演目』はですね・・・あ、堅い?(笑)」
そして遠山さんと自分だけで演奏するという今回のライブ形式の説明があって、
強制はしないけど手拍子などをしてもらえたら嬉しい、というお言葉。

白シャツに黒ネクタイをルーズに締めた先生の装いはスクールボーイのようでかわいいですね。
遠山さんのド派手な白スーツには、もはや他者の追随を許ぬヴィヴィッドさと貫禄が感じられます(笑)

Doubtツアー以来、約11年ぶりに披露される「BYE」がオープニングナンバー。
昨年の「DAY BY DAY」に続き、1曲目は「Let me Roll it!」からの選曲となりました。
「♪I Wanna Tell You~」からサビにかけての部分ではフェイク混じりの咆哮で、
完全な、圧倒的なロックンロールへとその色彩を変容させます。早くも僕の体温急上昇(微熱)

続く「Feel it」は、テンポを落としたおなじみのデモバージョン。
もちろんこのバージョンも最高なのですが、いつかバンド形式でも聴きたい曲ですね。

曲紹介なしで歌い出された3曲目は「♪遠くへ行くんだ」というフレーズが印象的な曲。
ややフォーキーな佇まい。サビの哀切なメロディーが耳に残ります。新曲?
聴き間違いがあるかもしれませんが、覚えているキーワードは以下のような感じ。

・簡単なさよならして 僕らは遠くへ行くんだ
・歌を少し覚えたら 僕らは遠くへ行くんだ
・君がくれた優しさから こぼれ落ちた悲しみが
・いますぐ遠くへ行くんだ(※最後に繰り返し)

間髪空けずそのままギターを激しくかき鳴らして「SOCIETY'S LOVE」へと突入。
今日の会場はシーティング。こんなに盛り上がる曲なのに椅子に縛り付けられているのはつらい。
誰か一人が立ち上がればみんな立ち上がったのかもしれないけれど、とりあえずクラップ!クラップ!
先生が「オラオラ!おめーら立て立て!」と客席を煽ればみんな立ち上がったのかもしれないけれど、
さすがに先生はそんなガラの悪い言葉は使わないだろうから、とりあえずクラップ!クラップ!

みんなでセッションしているみたいですごく楽しい、という一言に続いて「Rock'n Roll」です。
ステージバックの赤レンガと、目まぐるしく明滅する照明が撹拌されて、どこか艶かしくセクシーな印象。
以前ならこの曲を歌う健一先生に「内的な衝動の強さ」を確認することが多かったのですが、
現在では、あくまで外側に向かってエネルギーを放出していく「開放の美」が感じられるように思います。

続いて、久しぶりの「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」。遠山さんのピアノが壮絶すぎて腰抜けました。
そして「なんてドライブ感あふれるボーカルだろう!神懸かってる!」と思っているうちに曲終了。短い(笑)
終演後、TAKE-Cくんから「アイネクライネをあんなに上手く歌える人がいるなんて!」というメールが届いて、
「全くその通り!うんうん」なんて一人で頷いていたんだけど、よく考えたら曲作った本人なんだから当然だ(笑)

「アイネ」が終わったあたりでMCでしたっけ?
今回のツアーが平日のみになったのは、遠山さんのブッキング事情が関係しているという裏話。
別のライブ予定(ゴールデンカップス)がすでに先約として組み込まれていて、
つまり平日しか遠山さんの身体は空いてなかったというわけです。なるほーど。

2ndソロアルバムから、という紹介があって「遠くまで」。そして静かに流れ出す「This Song」のイントロ。
間奏で無雑作にギターをかき鳴らす仕草と表情がドキッとするほどかっこよかった。
この曲は歌われる度にどんどん透明になっているような気がします。

ギターを置いてピアノに移動する先生。昨年のライブと同様、鍵盤弾き語りコーナーです。
「ピアノで書いた曲をギターで弾くと何か違うんですよね。なんでですかね?」と先生。
その質問に対して遠山さんの回答は「(ギターじゃコードが)押さえられないから...」とズバリ。
「ギター持って立ってるときと違いますね」「連弾です」「この曲をピアノで披露するのは初めて」。
少し緊張の面持ちの先生のカウントで歌い出されたのは、驚愕の「RAINDROP TRACES」。

なんというイノセンス!!

僕は「RAINDROP TRACES」を歌うL⇔R時代の黒沢健一は見たことがありません。
だけどこの曲が歌われている間、彼の「音楽的純度」は今後ますます高まっていくだろうという、
そんな確信に似た思いが止むことなく湧き出てきて、僕の心のなかに横溢するのでした。
ものすごく乱暴な言い方をしてしまえば、黒沢健一の「これから」を象徴する中核的な多くは、
すでに今夜の「This Song」と「RAINDROP TRACES」に先取りされていたように思います。

続いて「Love Hurts」。
「歌うまいなぁ。何を食べたらあんなに歌がうまくなるのだろう」と考えてたらあっというまに終了。短い(笑)
そして先生は笑いながら「最初にやった曲(RAINDROP TRACES)と似てますねぇ」。
「成長してないから」と遠山さんにからかわれていました。
次のツアータイトルは「TOUR without growing up」で、似たような曲ばっかり演奏するそうです(笑)

鍵盤コーナー最後の曲は、1993年に永作博美へ提供した名曲「My Home Town」。
今回のツアーの選曲のために自宅でデモテープを探していたところ、
なんと先生が仮の歌詞で歌ったこの曲のデモテープが発掘されたのだそうです。
うわ、そんなレアものがあるなら僕もいますぐ発掘に行きたい!(住居侵入罪で3年以下の懲役)

再びギターに持ち替えての「HELLO, IT'S ME」が終わると、
遠山さんの口元にマイクがセッティングされ、「あの曲」の再来を僕たちに予感させます。
「歌詞わかってますね?」と客席に確認する遠山さん。もちろんわかってますとも、「Bye Bye Popsicle」。
先生は「ワンモアタイム!」と言って最後の繰り返すサビをオーディエンスに歌わせたのですが、
途中で先生が間違ってゴニョゴニョとなったので、またもや「ワンモアタイム!」と相成りまして、
その結果、貴重なチョイ長バージョンの「Bye Bye Popsicle」になりました(笑)

「Bye Bye Popsicle」と来れば、当然「Lazy Girl」。
この2曲は宿命的に結びついているのでしょう。もちろん会場はすごい盛り上がり。

打ち込みのリズムパターンが流れてきて「今日はホントにどうもありがとう。最後の曲です」。
本編ラストは、天才が示した一流の芸術的ジャンク、「PALE ALE」。
しかし何やらトラブルが発生したのか、大きな身振りでステージ袖からスタッフを呼ぶ遠山さん。
それをチラリと横目で気にしながらも、イントロで力強い即興シャウトを聴かせる健一先生。

アンコールでは新作Tシャツ(チャコール×黒)に着替えた先生がひとりで登場。
オーディエンスに感謝の意を示した後、おもむろに弾き始めた曲は初めて聴く曲でした。
字余り気味というか、ほとんどトーキングに近いAメロと、一転して伸びやかなサビ。新曲?
聴き間違いがあるかもしれませんが、覚えているキーワードは以下のような感じ。

・今日も一通りが終わって すべてうまくいったじゃないか
・あいつが言ってた困難なんて なにひとつ起こりはしなかった
・街にバンドが来るんだ
・あの場所も広告と落書きに埋もれて
・ロックンロールバンド

アンコール2曲目の「リトル・ソング」が終わり、先生の紹介に促されて遠山さん登場。
お召し物は新作Tシャツ(黒×水色)と、太ももに虎の刺繍が入ったチャーミングなジーパン(笑)
ファッションの新たな地平を切り拓く遠山モード学園では入学生随時募集中!

ラストナンバーは「God Only Knows」。
ファンに愛され、レンガに愛され、音楽に愛される先生が伝えようとしている言葉や想いは、
きっと様々な形に変奏されて、この美しすぎる楽曲のなかに反響しているように思いました。

鳴り止まない観客の拍手に、健一先生は再びステージに登場。Wアンコール!?
オーディエンスのざわめきを静めてから、マイクを通さず「ホントに今日はどうもありがとう!」
残念ながらもう曲ができない状態なのだそう。ちょうど21時だったので会場の都合かもしれません。

「どうもありがとう!またね!」

積み残しなし。余白なし。先生は現時点における最大要素を惜しみなく披露してくれました。
黒沢健一というミュージシャンが作り出す音楽の力学を感じさせる素晴らしいライブでした。


■ RAINDROP TRACES/L⇔R



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