:: びっくり日記

SEAT AND MUSIC 2008

2008.12.27



お台場の風は冷たい。寒さに凍えそうになりながら会場の外に並び、時間ぴったりの18時に開場です。
整理番号と名前の照合チェック、チケット代金の支払いを済ませてスムーズに入場していきます。
昨年のレポにも書きましたが、カルカルは座席の作りが独特なので(ステージ正面席がほとんどない)
初めて参加される方は戸惑うかもしれませんね。次々と席が埋まっていきます。完全ソールドアウト当日券なし。

昨年と同じ日程、同じ場所で急遽開催が決まった「SEAT AND MUSIC」は定刻の19時ぴったりにスタート。
ストライプが入った黒シャツ姿の先生、そして珍しく(?)地味目な格好の遠山さんがステージに登場です。
「ごはん食べながらゆっくり楽しんで下さい」と先生。「さつまあげが美味しいですよ」とは遠山さんのグルメ情報。

オープニングはアルバム「NEW VOICES」から、なんと「SPEAK EAZY」。
2002年のMoon Dog FES.(@名古屋ELL)で披露されて以来、ライブでは2度目の演奏となるレアな名曲です。
先生はギターを持たずに、胸の前あたりで軽く両手を組みながらの熱唱。素晴らしいですね。
名古屋ではきくっちゃんの弾き語りだったけど、今回は遠山さんのピアノで、より原曲に近いニュアンスかな。

先生は先日ブルーノート東京に初めて行ったそうで、その雰囲気がカルチャーカルチャーに近いと感じ、
今回このジャジーな曲を1曲目に選んだのだそうです。おぉ、そういうことかなるほどー。

黒沢:「わたし黒沢、カレンダーを作りました!いま買えば・・・」
遠山:「2000円です!」
黒沢:「(そのうち)値段上がるのかよ!」

なんと来年のアルバム発売日とツアーの日程に『印』が入ってますと先生が言っててびっくり。
だって、カレンダーの発売告知があったとき、僕はびっくりNEWSの中で

「はじめからアルバム発売日とツアー公演日に赤丸が印刷されてたら超便利なんだけど」

って冗談で書いてたから。「本当に印ついてたんのかいっ!」と。家に帰って確認したらマジで印ついてました(笑)
神妙な面持ちのミュージシャン然とした先生、リラックスした超笑顔の先生のどちらも楽しめる素敵なカレンダーです。

先生もギターを持って「スピードを上げてく」。これも昨年から今年にかけて演奏されなかった久しぶりの曲。
遠山さんのピアノが軽やかに跳ね、ギターはシャリシャリと控えめなストローク。でも歌声は力強い。名曲ですね。

昨年のカルカルライブ終演後、越後湯沢行きの新幹線きっぷの忘れ物があったというエピソード。
なんでも先生のまわりでは「越後湯沢さん」なんて名前がつけられているらしいですよ(笑)
「今年は皆さんが慌てなくて済むよう、終電に間に合うようにやりますから」。
そして、先生と遠山さんの2人だけのアコースティック・スタイルについて説明のあと、
「みなさんの妄想力が僕たちの演奏を豊かにする」という名言に続き、「SOCIETY'S LOVE」。
間奏でカラフルに明滅するステージ照明がすごかった。先生も「Yeah! Yeah!」とテンション急上昇。

続いてビートルズのカバーでおなじみのバカラックソング「Baby It's You」(オリジナルはShirelles)。
遠山さんのシャラララコーラスが気持ちいいです。

今年はラジオ番組に出演して生演奏する機会が多かったという話から、遠山さん椅子事件の話題へ。
7月のLIVE-J。ピアノ椅子の脚を開かないまま、つまり一本足で「Rock'n Roll」を演奏したんですよね。

遠山:「だってCM明けちゃうんだもん」
黒沢:「そりゃCMは明けますよ(笑)」

とても一本足じゃできない難曲なのにやり切った、と先生。さすが百戦錬磨の遠山さんです。
公式サイトに、ピアノの運指がわからないのでゆっくり弾いて下さい、という内容のメールが送られてきたらしい。
「待て待て待て」と先生。それはテンポ変わっちゃうじゃん、と。

残念ながら本日の「Rock'n Roll」は通常のテンポでした(笑)

まだ年内仕事がありますが(あるの?)今日で仕事納めの気分ですという健一先生。
昨年のカルカルライブ→年末歌い納めの後、遠山さんはなんと紅白歌合戦に出ていたらしいですよ。
和田アキ子の後ろでコーラスしている姿がバッチリ映ったとのこと。えぇ、マジっすか!
さらに昔はドリフの番組にも聖歌隊メンバー(?)で出演していたそうで、
いまでも業界内ではそっちのイメージで認知されていることが多いそうです。仕事の幅が広いなぁ。

といった具合に遠山さん関連のエピソードが思いのほか盛り上がり、
先生も一度は話を切り上げて曲に行く素振りを見せたのですが、

黒沢:「でもさぁ・・・」
遠山:「終電なくなるから!」

39歳のときに書いた曲だったんだけど40歳になってしまったので、
もうタイトルに年齢をつけるのはやめよう(笑)という前置きから「Scene39」。
力の抜けたボーカル。間奏では小節からはみ出さんばかりのピアノフレーズ。
続いて演奏された「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージックでも怒濤のピアノです。
僕のような素人から見ると、この2曲だけで一生分指がつりそうなんて思うのですが、やはりプロは凄いなぁ。
しかし「アップテンポの曲が続くとちょっと息切れが・・・」と、先生もややバテ気味のご様子。
遠山さん情報によると、楽屋での最近の話題はもっぱら「健康」と「年金」とのこと(笑)

リハ中に店員さんが客席でごはん食べてたらしいんだけど、その匂いが漂い、ステージ上の2人の鼻腔を直撃!
遠山さんはピアノを弾きつつも、顔の向きは食べ物をロックオンした状態だったらしい(笑)
ただならぬ雰囲気を察したのか「あとで楽屋にお持ちします」と店員さん。たくさん運ばれてきたそうですよ。
「ハーブ鶏が美味い。さつまあげが美味い」と再びカルカルグルメ情報に熱が入る遠山さんなのでした。

続いて、15~6歳のときに作った曲で今年インストアライブで久しぶりに演奏した、という名曲「BABY BACK」。
それまで習作のような曲はあったと思いますが、きちんと一曲仕上げたのはこの曲が最初なんだそうです。
(DAYS、YOUNGER THAN YESTERDAYあたりもこの頃に書いてるんでしたっけ?なんたる才能)
エレキ抱えてロックやるつもりだったのに「なんでこんなカントリーみたいな曲になったんだろう(笑)」と述懐する先生。
ある意味ここからすべてがはじまったわけで、それを最新の黒沢健一が歌っているという事実は感慨深いですね。
25年もの歳月がそこには横たわっている。それに比べたら12年ぶりのノッキンなんてどうってことないか(笑)

Harry Nillson(原曲はBadfinger)の「Without You」や、Carpenters「Close To You」を思わせるピアノから、
「♪こんな小さな世界を君は旅立っていく」と歌い出されたメロディーは、今まで聴いたことのないもの。
6月のツアーで披露された「方舟」「Rock'n Roll Band」と同様、美しく、どこかノスタルジックな旋律。
鋭い哀しみの感情と、胸が締め付けられるほどの切なさが横溢する名曲だと感じました。
もちろんこの3曲から新作の内容を察するのは早計かもしれないけど、意外とフォーキーな作風?
でも「Feel it」「Scene39」も収録されるだろうし、前述の3曲もアレンジが違うかもしれないし・・・。
バラエティーに富んだアルバムになるんでしょうね。新曲を聴いてまた「Focus」が楽しみになりました。

ここで先生と遠山さんは一時退場。事前アナウンスにあったとおり、また昨年と同様、休憩挟んで2部構成です。

「たぶんみなさんもご存知の曲を」「みなさんに参加していただくパートもあります」といういつもの前フリから、
「Bye Bye Popsicle」で第2部スタート。かなり盛り上がって、先生も客席に向かって拍手、親指立ててGOOD!

直後のMCで「Live without ele#$%&#$%&・・・」と思い切り噛んだ先生。
「ほとんどちゃんとタイトル言えたことないじゃん」と遠山さんから容赦ないツッコミが入ります。
「以前もどこかで Live "with" electricity って言ったことあったよね。どんだけ電気なんだ、と(笑)」
こういったアコースティックの形態もまたやりたいと思うので遊びに来て下さい、と先生のまとめ。

黒沢:「なんか最後の曲みたいなMCになりましたがまだやります(笑) ・・・終電大丈夫?」
遠山:「すぐやめますから」

と言いつつさらにMCは続きまして、パンダになった話とキャロル・キング来日公演を観に行った話、
その影響でビートルズ以前の(Goffin & Kingなどの職業ライターがいた)時代の熱がぶり返した話。
で、キャロル・キングが当時この曲をカバーしたらこんな感じになったんじゃないかというイメージから、
日本語バージョンで「上を向いて歩こう」。ピアノがあるせいか、たしかにキャロル・キングっぽいですね。
都会的で、小粋で、おしゃれな「上を向いて歩こう」でした。日本語だからこそ新鮮な印象を受けました。
それにしてもハンキー・パンキーがフィル・スペクター風でしょ?で、今日のテイクはキャロル・キング風。
今後、SPARKS風(変態ポップス)、175R風(青春パンク)などの展開があるかもしれません!(ありません)

力強いギターストロークで「遠くまで」。歌声もまったく疲れを見せません。いよいよライブも佳境です。

次の曲を紹介する際に「バンドでやれば盛り上がる曲なんですけどねぇ」と少し不安そうな表情の健一先生。
2人だけのアコースティックスタイルでこんな曲が成立するのか、という実験的な部分もあるのだと語ります。
それゆえ「みなさんの妄想力が必要」であることを強調し、ハンドクラップでの楽曲参加を要請します。
「まじめに参加して下さい。酔っ払ってる人はやらなくていいです」と相変わらずの遠山節も炸裂(笑)
イントロがはじまり、ざわめく客席。しかし僕は妻ニクルが曲名を耳打ちするまで、何の曲かわからなかった(笑)
「LAND OF RICHES」はこの日のハイライト、最大の盛り上がりを見せました。
ていうか、いったいどこが "SEAT" AND MUSICなのか。この曲を座って聴くのはもはや苦行に近い。
コール&レスポンスも圧巻で、先生も「Clap!! Clap!!」って20回くらい叫んでいたように記憶しています。
遠山さんいわく、これでもコール&レスポンスは「簡単バージョン」になったそうです。バンドでも聴きたい!
Focusツアーに期待しましょう。そしてそのときこそ上級者バージョンのコール&レスポンスでお願いします(笑)

弾き語りスタイルの「LAND OF RICHES」がひとつの実験であったなら、実験は見事に成功したと言えるでしょう。
思えば黒沢健一の音楽の歴史は常に実験性とともにあったわけで、それはL⇔R時代は言うに及ばず、
1st→2nd→3rdと自由に自分の位置を変えていくソロアルバムの変遷を見ても充分わかることだし、
あるいは、健'zにおける爛熟の気風や、Science Ministryにおける才気あふれる即興性だったり、
MOTORWORKSの遊戯的な姿勢にもそれを感じ取ることは可能ではないでしょうか。
自分のルーツを掘り崩していく過激さと、あらかじめ了解された地平を越えていこうと試みる実験性。
僕が黒沢健一の音楽を熱狂的に支持する理由は、おそらくそのあたりにあるのかなぁと思います。

いつもは「Bye Bye Popsicle」と1セットで演奏される印象が強く、
今日はもうてっきりやらないのかと思っていたL⇔R初期の名曲「Lazy Girl」が歌われ、
「今日はどうもありがとう!最後にロックンロールナンバーを」と勢いそのままに「PALE ALE」へ。
身体を前後に激しく揺さぶりながら鍵盤を叩く遠山さん。叩くという表現がこれほどぴったりなプレイはありません。
一方、先生のボーカルはやや音に負けている印象。バックの音が大きすぎるのでしょうか?声量不足?

アンコールはまず先生ひとりで登場して、今年のツアーで初披露された新曲「Rock'n Roll Band」。
囁くような、優しく語りかけるようなソフトなボーカル。サビで炸裂する必殺のファルセットもちょっと苦しそう。
でも、逆にそれが楽曲の持つ切なさや哀感を否応なく強調しています。
たしか前回はアウトロにニール・ヤングの「Helpless」の一節が挿入されたと思うんだけど、
今日は「♪Rock'n Roll Band ♪Rock'n Roll Band」というリフレインが採用されていました。
歌詞も一部変更されていたようです。

おなじみの「リトル・ソング」も、いつもよりソフトなボーカル。あれ?やっぱり声枯れてる?
曲が終わると遠山さんをステージに呼んで(文言は正確ではないけど)次のような内容のMC。

「自分は、やりたいこと、理想、こだわりが強くて、周りから見ればメンドクサイ人間かもしれない。
 だけど、来年ようやく7年ぶりにニューアルバムが出ます。ツアーもあるので遊びに来て下さい」

黒沢健一は自分の才能に油断せず、真摯に音楽と向き合い、苦しむ人であることを僕たちは知っていて、
だからこそ辛抱強く風雪に耐えながら(大げさ)いつまでも新作を待つことができるのです。
どうぞこれからもこだわり抜いた音楽を安心して作り続けて下さい。

本編最後の曲は「HELLO, IT'S ME」。
おそらくミュージシャンとしての矜持の足掛かりとなったであろう名曲であると同時に、
自らのアイデンティティーを深く問い直すこの曲の存在意義は、いまの時代だからこそ大きいと思います。

客電が点いても拍手は止まず、ダブルアンコールに応えてお二人登場。
おもむろに「今日わかったことがある!」と先生。なんだなんだ?

「みんなとのパーティーは楽しい!だけど中盤に盛り上がりすぎると声に来る!(笑)」

あー、「PALE ALE」「Rock'n Roll Band」「リトル・ソング」あたりに感じたノドの不調はそれが原因でしたか。
優しくも激しくもなれるのが先生のボーカルの魅力だけど、明らかに「LAND OF RICHES」は飛ばしすぎてた。
もちろん相当タフなノドの持ち主だとは思うけど、ツアーでは適度なペース配分も重要ですよ先生(笑)
バッチリ回復したノドで最後の最後に「This Song」をしっとりと。2008年を締めくくる1曲にふさわしいですね。
深々とお辞儀をして、「また来年会いましょう」という言葉を残し、今年のライブはすべて終了!

最後にライブ本編以外のことについても触れておきます。

カルチャーカルチャー本日のスペシャルドリンクとして、「健キール」が提供されました。
なんでも、先生本人が楽屋で飲んで大絶賛したんだそうです。ほほう。
実は妻ニクルもキール大好きなのですが、注文しそびれてしまいました。どんな味だったのでしょうか。
また、その「健キールを飲む健一先生」の画像を期間限定でダウンロードできるという来場者サービスも。
その画像にアクセスするためのQRコードが場内のスクリーンに映し出されたのですが、
QRコードはマクロ撮影が基本であるゆえ、うまく読み取れず。残念ながら断念してお店を出ました。



退店時には非売品CDーR「Voice & Pencil」が全員にプレゼントされました。
パッケージ・盤面ともに楽曲クレジットはなく、「すわ、未発表音源か!?」とひとり勝手に色めきたつも、
内容は、先生本人によるライブ来場のお礼と、パンダやノッキン解禁などに触れながら1年を振り返るという
90秒ほどのコメントでした。音声版featureといった趣きも。これはこれで貴重かもしれません(笑)
で、最初と最後に紙をペラッとめくる音が入っていて、コメントの後ろではカリカリッと筆記音が聞こえます。
僕の弱い頭で3秒ほど考えてみたのですが、これってつまり先生が手紙を書いているシチュエーション?
手紙を書きながら文面を読み上げているような雰囲気。だからVoice & Pencilなんですね!(たぶん)



not for sale / 品番はrpm-0013



今日の日付・会場名などが印刷されたコースターも同梱

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2008.12.27(sat)
@東京カルチャーカルチャー SETLIST


▽第1部(19:00-19:56)
01. SPEAK EAZY
02. スピードを上げてく
03. SOCIETY'S LOVE
04. Baby It's You
05. Rock'n Roll
06. Scene39
07. アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック
08. BABY BACK
09. 新曲(♪こんな小さな世界を君は旅立っていく)

▽第2部(20:17-21:17)
10. Bye Bye Popsicle
11. 上を向いて歩こう
12. 遠くまで
13. LAND OF RICHES
14. Lazy Girl
15. PALE ALE
EN
16. Rock'n Roll Band
17. リトル・ソング
18. HELLO, IT'S ME
EN2
19. This Song


■ LAND OF RICHES/黒沢健一


> こんばんは~。健一先生の情報メールってちゃんと届いてます?
> LIVE TOUR 2009 Focusチケット先行予約まとめを見ると、先行予約ってメルマガでもあったんですか?
> 私のところにはk-k informationのメールに統一するっていうメールのあとは何も届いてないんですよ。
> ちゃんとrpmメールからの移行のお願いもしたのになぁ。
> まぁ、公式サイトから先行予約できたのでよかったんですけどねぇ(当選してるかどうかわかりませんが)
> 何回もアドレスを登録すれば届くようになるんでしょうか…。
> あんまりしつこく登録しても同じアドレスが重複することになって迷惑かなぁと思ったり。
> 一度問い合わせてみた方がいいのかもしれませんね。


こんばんはー。メッセージありがとうございます。無事にチケット当選されましたか?
情報メールは一応届いてます。ツアーチケットも今回はメール先行で確保することができました。
そういえば僕も最初は届かなかったんですよ、k-k info。で、サイトリニューアルのときだったかいつだったか、
公式サイトからメッセージ送ったときに情報メール「希望」にしたら、ちゃんと配信されるようになりましたよ。
問い合わせてみるのが確実でしょうね。もちろん、ライブ会場で配られるアンケートにアドレス書いてもOKです。
今年は「■k-kurosawa information■」という件名のメールが届く度にビクビクしちゃいました。心臓に悪い(笑)



メッセージはお気軽にどうぞ。

黒沢健一::黒沢健一