:: びっくり日記

賞男

2009.03.27



堀江敏幸「雪沼とその周辺」読了。実は初めて読んだ堀江作品です。
素晴らしいですね。まさに折り目正しき上質の純文学。されど重過ぎずスマートな小説。

雪沼という架空の土地に住んでいる平凡な登場人物たちは自律した内面をもった個人ではなく、
居合わせた他者との関係性のなかで自己を見つめ、休まる場所や懐かしい場所を見つけていきます。
この本を読んでいる間は誰もが雪沼の住人です。とても豊かなで幸福な時間を過ごすことができました。

昨年、岐阜県図書館で小島信夫展が開催されまして、もちろん妻ニクルと一緒に足を運んだんですけど、
小島信夫と同じ岐阜出身の作家ということで、堀江氏の講演会が開催されたのでした(参加しました
講演を聴く前から、ずっと読みたい読みたいとは思っていたんですが、ようやく機会に恵まれたわけです。

小島信夫は堀江氏のことを「彼は"賞男"だね」なんて冗談めかして言っていたくらいなので、
いったいどれだけすごい受賞歴なのかと思って調べてみたら、なるほどたしかにこれはすごい(笑)

▽堀江敏幸の受賞歴
1999年 - 三島由紀夫賞
2001年 - 芥川賞
2003年 - 川端康成文学賞
2004年 - 谷崎潤一郎賞・木山捷平文学賞
2006年 - 読売文学賞

ついでに小島信夫の受賞歴も見てみましょう。堀江氏とかぶるのは芥川賞・谷崎賞・読売賞の3つ。

▽小島信夫の主な受賞歴
1954年 - 芥川賞
1965年 - 谷崎潤一郎賞
1972年 - 芸術選奨文部大臣賞
1981年 - 日本文学大賞
1982年 - 日本芸術院賞
1982年 - 野間文芸賞
1997年 - 読売文学賞

あるいは古井由吉の場合はどうでしょうか。こちらは芥川賞・谷崎賞・川端賞・読売賞の4つがかぶり。

▽古井由吉の主な受賞歴
1970年 - 芥川賞
1980年 - 日本文学大賞
1983年 - 谷崎潤一郎賞
1987年 - 川端康成文学賞
1990年 - 読売文学賞
1997年 - 毎日芸術賞

つまり、芥川→川端→谷崎→読売は純文学作家にとってのエリート街道なのです(極点はノーベル賞)
例えば読売文学賞は、おじいちゃんおばあちゃんになって「大家」と呼ばれる地位を確立した作家の、
その人生の晩節における総決算的な作品に対して授与されるというイメージがあると思うのですが、
おととし「河岸忘日抄」で読売文学賞を受賞した堀江敏幸氏は当時42歳です。とびきり若い。若すぎる。
こんなにハイペースだと、あとはもう国内では野間文芸賞くらいしか残ってないんじゃないですか(笑)

文学賞受賞作といえども、救いようのないほど退屈でくだらない作品というのも無数にあるわけですが、
堀江氏の場合はたぶん「ハズレ」がないんだろうなぁ、と1冊読んだだけの僕は根拠なく確信するのです。


■ Somebody Cares/Tommy James & the Shondells


> 私もタワレコ行っておりました。
> Close To Meだ♪ と思ったら本番では演らないという…インストアはリハも込みで参加せねばダメですね。
> 順番を待つ際、店内カメラに映る握手会の様子を見て「あー健一さん座っているんだ」と思ってしまいました。
> ごめんなさい…だって斜め上から撮るカメラだとそう見えたんです。
> ちっちゃいから(はっきり言っちゃったよこの人は)ではないですよ。
> そして握手の時、健一さんの方がなかなか手を離してくれない、という素敵体験が出来て幸せです。
> もちろん私だけではなく(笑)皆様にそうでしたね。
> 後ろのスタッフのお姉さんがグイグイ横に流そうとしても健一さんが手を握っているという…(笑)
> それがすごく面白い図でした。良い人だなぁ健一先生。


タワレコインストア参加、おつかれさまでしたー。楽しかったですね。
もちろん握手会はミュージシャンとファンとの貴重なコミュニケーションの場ですが、
一方で会場側の進行の問題もあるので、そういったせめぎ合い(笑)が発生するのは世の常ですよね。
ベタなたとえですが、「立ち止まらないで下さーい!」という上野動物園のパンダ状態(ハンキー?)
昨年は壇上での握手でしたが、今回はフロアでしたね。動線もスムーズで良かったんじゃないかと思います。
そういえば昨年もリハでやった曲は本番ではほぼスルーでした。これぞクロサワ流ですね(笑)

> >7年かけて「Focus」レビュー書きました。
>
> さすが!!もう7年分も聴いてしまわれたのですね!!笑
>
> 愛ある 素敵なレビューと考察、ありがとうございます。
> ひろニクルさんにレビューを書いてもらえるって幸せなことだなぁ と
> 自分も 書いていただく身として 改めて。
>
> sizukesa~Silencioの流れは、私も、そんな気がしていました。
> ので、ちょっと嬉しかったです。
>
> そして私は レビュー、かけていないままツアー全日程が終わりそうです。笑


おぉ、そんなに褒めていただけるとは嬉しいです。ありがとうございます。
7年前から僕の心の中には「Focus」が聴こえていたのです。レビュー書くのにも7年(笑)
やはり「sizukesa」に着目されましたか!あの時点ではアルバムの方向性は固まってなかったはずですが、
レビューに書いたとおり、もっと感覚的な、「気分」のようなものは「Focus」に結実していると思います。
それにしてもタワレコ店舗で紹介ポップを見たことがない人には、あの日記の意図がわからないかもですね。
「ぜひ読んでください!」ってなんだよこいつ、みたいな(笑) とりあえず直筆サインがポイントです。

> ひろニクルさん、こんばんは。はなです。Focusレビュー読ませていただきました。
> アルバム全体、各曲について、新鮮な気持ちと、改めて私自身の気持ちを確認するような思いを持ちました。
> レビューの感動をお伝えしたかったのですが、うまく言葉にできません。
> ツアーは、恵比寿に参加して、後は大阪です。健ちゃんと幸せパワーを分かち合えるのが楽しみです。


はなさん、レビュー読んでいただきありがとうございました!目が疲れませんでしたか?(笑)
好き放題に書かせていただきましたが、それを読んで「Focus」についての感慨を深くしていただけたのなら、
もう、それに勝る喜びはありません。途中で心折れそうになりながらも書き続けた甲斐があるというものです。
あれ?大阪公演は早くも明後日ですか。なんか3月はあっというまに過ぎ去ってしまったような気がしますね。
ツアー初日の恵比寿から、バンドはさらにパワーアップしているというウワサですよ。楽しんできて下さい!



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