:: びっくり日記

GACHI・シーズン2 浜崎貴司vs黒沢健一

2010.07.05

GACHIライブに行ってきたので簡単にレポートしたいと思います!

開演前はずーっとビーチ・ボーイズが流れていました。どうやらベスト盤のようです。
今日は隣に妻ニクルもいないし、独りであまりにも暇だったので、突然ベスト盤当てクイズをすることに。
「God Only Knows」→「Sloop John B」→「Wouldn't It Be Nice」→「Getcha Back」という曲順から、
これは、2003年にリリースされたベストアルバム「Sounds of Summer」であると僕は確信しました。

<ファイナルアンサー?

これ、選曲も良いんですが、国内盤には健一先生はじめ多くのミュージシャンがコメントを寄せています。
国内盤はもうすでに廃盤ですが、探せば中古で普通に買えると思いますので、この夏のお供にぜひどうぞ。

さて、本日のライブ会場は渋谷DUOです。これまでのGACHIよりキャパは倍になりました。
そして、黒沢健一が復活の狼煙を上げた伝説の一夜、あの「年末歌い納め」と同じ会場です。
パイプ椅子が並んでいます。そういえば、先生が出演した「全力投球!! '07冬」もDUOのシーティングでした。

GACHIはミュージシャン1対1の対決企画だし、もちろんそれぞれのソロコーナーも素晴らしいのですが、
2人の共演パートにこそGACHIライブの特異性というか、GACHIのGACHIたる所以がよく表れていることは、
今回のセットリストを見ていただければ一目瞭然だと思います。浜崎貴司&黒沢健一パートのユニークな選曲!

オープニングトークで向かい合って話す2人がまるで先生と生徒のようでかわいかったです。
気をつけの姿勢で浜崎さんの話を聞く黒沢健一、このときばかりは「先生」ではなく「生徒」でした。

エール交換のようなGACHIのテーマに続き、山本リンダ。浜崎さんはイベントで一緒になったことがあるそうです。
ここで放送コードギリギリの発言がありましたが(笑)、曲はギターリフがめちゃめちゃかっこよくてしびれました。
間奏では「健ちゃん、もうどうにも止まらないよー!」「浜ちゃん、俺ももう止まらないよー!」という小芝居も(笑)

先生がGACHIサイトで過去のセットリストを確認していると、好きな曲を見つけたそうです。
それが、RCサクセションの名曲「君が僕を知ってる」。浜崎さんはハーモニカを華麗に吹きます。

ここでいったん浜崎さんは退場。先生のソロタイムは座って弾き語るスタイルです。
浜崎さんのことを先生は「浜さん」と呼ぶそうですが、浜崎さんからは「浜ちゃんでいいよ」と言われたそうです。
デビュー前に先生が出演していたライブハウスに、ちょくちょく浜崎さんが出入りしていたらしく、
先生は「フライングキッズの浜崎さんだ!」と、柱の陰からこっそり見ていたとかいないとか。古葉監督かい!
そんな話をしている最中も、先生の頭上を照明の光に誘われた小さな虫が飛んでいて気になりましたが、
フライングキッズ最大のヒット曲「風の吹き抜ける場所へ」のカバー、そして「PALE ALE」と快調に飛ばします。

そして、徳山くんへの提供曲「卒業」のセルフカバー。入魂のギタープレイに、ドキリとしました。
決して器用ではないのかもしれないけど、ストロークひとつでこんなに表情を作り出せるなんて・・・。
ここ数年の弾き語り武者修行で、ギタリストとしての表現力も格段に増しているのは間違いないでしょう。

今回、「卒業」「Happy Birthday」と、2曲も徳山くんの曲をセルフカバーしたのは、正直意外でした。
「黒沢健一に徳山秀典の曲をセルフカバーさせる会」会長の菊池真義さんが今日は不在だというのに!
「黒沢健一に徳山秀典の曲をセルフカバーさせる会」副会長の僕の地道な活動が実を結んだのでしょうか?
どういうことかと申しますと、昔からびっくり日記を読んでいただいている方ならばご承知かとは思いますが、
僕は徳山くんの「One 17th」「REAL TIME」は、ある種「黒沢健一」のアルバムでもあり続けていると主張し、
全曲カバー&全曲再現ライブをしてほしいと、雨の日も風の日も、毎朝街頭に立って訴え続けてきたのです。
まぁ、全曲カバーというのは非現実的だとしても、「Close To Me」「No, Say Good-Bye」「Throw Away」や、
「Sleepless Night」「BLUE」「卒業」あたりは作者本人によって歌われるべき名曲だと常々思っている次第です。
果たして、「Close To Me」「BLUE」「卒業」についてはこれまで各イベントにて披露されたことになったわけです。
「黒沢健一に徳山秀典の曲をセルフカバーさせる会」は、これからも志高く、日々邁進していく所存でございます。

さて、「POP SONG」は歌詞が少しムニャムニャっとなりましたが、ボーカルは抜群に安定していたと思うし、
MOTORWORKSの「(A Place Where) Love Goes Withered」のファルセットも柔らかに響いていましたね。
CD未収録の弾き語り名曲「方舟」は、DVD「LIVE Focus 2009」で聴けるバージョンからまた少し進化。
終盤にギターのストロークが激しさを増し躍動するアレンジです。いいですねー。実にかっこいいです。

そして先生ソロコーナーのラストは、すでに弾き語りライブでも定番化した感のある「Rock'n Roll」。
普段なら遠山さんやきくっちゃんが奏でる雄弁なフレージングが楽曲に奥行きを生み出すのですが、
今日は遠山さんもいない、きくっちゃんもいない、本当に先生ひとりっきりのアローンアゲインナチュラリーです。
しかし、それを逆手に取り(?)、タイム感やリズム感やブレイクなど、すべて本人がコントロールすることで、
ちょっと近づきがたいような、何ともいえない不思議な緊張感が、今日の「Rock'n Roll」には漂っていました。
胸がザワザワするような禍々しさや、楽曲の持つエキセントリックな部分を見事えぐりだしたような気がします。
そう、Focusツアーの「TILL YOU SEE ME THROUGH」で感じた、あの小さな狂気に近いかもしれません。

休憩を挟んで浜崎さんのソロコーナー。冒頭のフライングキッズ3連発がすごい良かった。グルーヴ地獄。
演奏ミスしてやり直しする場面も何度かありましたが、あんな曲はやっぱり浜崎さんにしか歌えないのです。
ふと思ったのですが、浜崎貴司という人は「不器用なふりをしている器用なボーカリスト」ではないでしょうか。
「面」で迫ってくるあのボーカル。そして「弦楽器」に近い響きすら獲得しているあの声の張力は圧倒的です。
(先生のボーカルはもう少し抑揚があってソフィスティケートされている印象。もちろん2人とも声量は凄い!)

岡村ちゃんをカバーすると告げたとき、「ひゃあ!」と息が止まってしまったお客さんがいらっしゃいまして、
"んまんんっっ"という「サザエさん」のエンディングみたいだ、と浜崎さん。「死なないで下さいね」と(笑)
岡村靖幸ファンの僕もびっくりするやら嬉しいやら、静かに興奮。岡村ちゃんとのエピソードも聞けましたよ。
「これから行きたいんですけど・・・」と電話があって、浜崎さんの自宅に遊びに来た岡村ちゃん。
2人で岡村ちゃんのアルバムを聴いたりして、「最高だねぇ、岡村ちゃん!」と浜崎さんが言っても、
岡村ちゃんは「そ、そうかな・・・」と照れるばかり。なんだかその情景が目に浮かぶようではないですか。
そして、酔った浜崎さんがサインをお願いすると、照れくさそうに「浜ちゃんLOVE」と書いてくれたらしい(笑)

さて、再び健一先生がステージに迎え入れられ、ここからは怒涛のコラボレーションタイムです。
GACHIライブの準備のために、先生から「TALK SHOW」の音源データが送られてきた浜崎さん。
なぜかCHABOさんの歌だと思い込み、CHABOさんの事務所に問い合わせしてしまったらしい(笑)
それくらい、健一先生の声には聴こえなかったそうです。リリース当時、浜崎さんを意識して歌った曲で、
今回、浜崎さんに歌ってもらうことで、ようやく「TALK SHOW」は"完結する"という意味の発言も先生から。
Aメロでは吉兆の囁き女将を意識しながら歌う先生。2人で歌う「why don't you do it」部分の重厚さが凄い!
「TALK SHOW」は常に変化を許容する楽曲というか、先生の年齢と共に解釈が深くなるタイプの曲ですね。

「オリオン通り」は初めて聴いたんですが、哀愁の名曲でしょうこれは。タワレコ限定のリリースでしたっけ?
ハモリ最高!浜崎さんのハードな(男性的な)声と、健一先生のソフトな(女性的な)声が絶妙に絡みまくり。
ところで、栃木(宇都宮)のオリオン通りを歌った曲があるということを先生が堂島孝平君に話したところ、
「それマジ悔しくないですか!?」というリアクションが返ってきたらしいです。イバラキックスの逆襲間近?
しかし「アンサーソング作りますよ!」と張り切る先生に対して、「あ、いいよ別に答えなくて」と浜崎さん(笑)

薬師丸ひろ子が歌っていた「探偵物語」(名曲!)について話し出すも、微妙に反応の薄い客席を見て、
「ほらー、みんな知らないってよ。黒沢くんがやろうやろうって言うからさー」と口を尖らせる浜崎さん。
途中で浜崎さんがギター間違えてやり直し。先生も普段よく曲止めますが、浜崎さんも結構多いんですね。
ま、GACHIでは持ち歌以外にカバー曲も多いし、それにやり直すこと自体、別に大した問題じゃないです。
「探偵物語」が先生のリクエストというのは意外な気もしましたが、これ大滝詠一の作曲なんですよね。
あまりにも良い曲すぎて、ポワーンとうっとり聞き惚れてしまいました。もしかして今日一番感動した曲かも。

佐野元春「アンジェリーナ」は、会場もご本人たち的にも一番盛り上がっていたかもしれません。
そして、先生の十八番である佐野元春のモノマネは、相変わらず全然似てなかったですね(笑)
唯一の洋楽カバー、ビートルズの「In My Life」。浜崎さんが翻訳した日本語詞を朗読→そのまま曲へ。
パッヘルベルのカノン風の、あの美しすぎる間奏も、2人のギターで繊細に表現していました。
ポール・マッカートニーの追っかけをして、大阪の路上で偶然出逢った2人のエピソードなどもあり。
続けて尾崎紀世彦「また逢う日まで」。1コーラス目を浜崎さん、2コーラス目を健一先生が歌います。
こうして同じメロディーをそれぞれ歌われると、先生のレンジ(声域)の広さにあらためて驚かされます。

アンコールでは、「たまたま遊びにきていた」佐橋佳幸さんが急遽参加して2曲共演するというサプライズ!
スーパーギタリスト佐橋さんの超絶テクに、このときばかりは浜崎さんも先生も目に入らず!(すみません)
最後に浜崎さんが1曲しっとり歌って、3時間にも渡るGACHIライブは無事に終了。お疲れ様でした。

弾き語りライブは「よりいっそう歌の力が浮き彫りになっていた」等の言い回しで評される性格のものだし、
たしかにそのとおりなのですが、黒沢健一の場合はそれで言葉を尽くしたとは思えない。それだけじゃない。
だけど、いままで何度も先生の弾き語りを観てきて、僕はまだその深淵をうまく説明できずにいるのです。
いつかリリースされるであろう先生の新作に、ほんの少し、その「答え」があるのかもしれません。

・・・そんなことを考えながら道玄坂を下るのですが、とりあえずパイプ椅子に3時間座り続けたお尻が痛い!

+ + + + +

2010.7.5 @Shibuya DUO Music Exchange
SETLIST

▽ 浜崎貴司&黒沢健一

01. GACHIのテーマ
02. どうにもとまらない / 山本リンダ
03. 君が僕を知ってる / RCサクセション

▽ 黒沢健一
04. 風の吹き抜ける場所へ / FLYING KIDS
05. PALE ALE
06. 卒業 / 徳山秀典
07. POP SONG
08. Happy Birthday / 徳山秀典
09. (A Place Where) Love Goes Withered / MOTORWORKS
10. 方舟
11. Rock'n Roll

▽ 浜崎貴司
12. 暗闇でキッス / FLYING KIDS
13. マタサブロウ / FLYING KIDS
14. ドマナツ / FLYING KIDS
15. カルアミルク / 岡村靖幸
16. AIと身体のSWING
17. オンナLIFE
18. サンクチュアリ~SEIなるふたり
19. トワイライト
20. 友情のエール

▽ 浜崎貴司&黒沢健一
21. TALK SHOW / L⇔R
22. オリオン通り / 斉藤和義&浜崎貴司
23. 探偵物語 / 薬師丸ひろ子
24. アンジェリーナ / 佐野元春
25. In My Life / The Beatles
26. また逢う日まで / 尾崎紀世彦
27. GACHIのテーマ

▽ 浜崎貴司&黒沢健一&佐橋佳幸
28. アンジェリーナ(※1コーラスのみ) / 佐野元春
29. バン・バン・バン / ムッシュかまやつ

▽ 浜崎貴司
30. かえりみち


■ ある男のメロディー/FLYING KIDS



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