本日のインストア会場であるタワーレコード新宿店7階に到着すると、
フロア隅に設営されたステージではスタッフがマイクテスト中でした。マイクとギターが3本ずつ。
どうやら先月のカルカル2部と同様、黒沢健一+茂村泰彦+西山太郎のアコギ3人編成のようです。
ここで僕は8階のトイレにGO!戻ってきてもまだまだスタッフのマイクテストは続いてました。長いよ!
チェック柄のシャツでキメたジョージ社長の姿が否が応でも目に飛び込んできます。
しばらくすると、チェックのシャツを着た茂村さんとチェックのシャツを着た西山さん登場。
これで健一先生までチェックのシャツだったら怒って帰ろうかと思ったんですが(笑)、
ステージに現れた先生はシンプルな黒無地のシャツだったので事なきを得ました。
「あ、リハーサルです」と先生。はい、知ってます。リハ1曲目はイーグルスの「Take It To The Limit」。
初めて演奏した曲らしいんですが、もう何年もずっと持ち歌にしてきたような練達さと貫禄がありました。
先生のボーカルは言うに及ばず、3人のギターもコーラスワークも、重量感のある味わい深いものでした。
カルカルのときに、この3人の音楽はウエストコースト・ロックを志向しているのかなぁ、と感じたんですが、
今回のイーグルスでそれは確信に変わりました。
先生のマイクテスト。「♪ヘイヘーイ」「♪トゥール トゥットゥー」と矢継ぎ早に短いフレーズを繰り返し、
ハイからローまできれいに音が出ているか確認します。なんというか、僕はもうこれだけで痺れるというか、
いっそマニア向けに『黒沢健一マイクテスト集』とかCD出してください!タワレコ限定で。絶対買いますよ。
リハーサル2曲目は「Soul Kitchen」を2コーラスのみ(大サビ前まで)。
茂村さんと西山さんは、モニターやマイクの音量等についてスタッフに細かく指示を出していましたが、
先生は「いいっすね。俺は大丈夫。本番をお楽しみに」と客席に手を振りながら立ち去っていきました。
+ + +
例によって、本番前は整理番号順に階段に整列。その後、順次ステージ前の観客エリアへ向かいます。
先生はステージに登場するなり「リハーサルでは少なかったけど、こんなにたくさん来てくれてありがとう」。
え、リハーサルのとき僕はステージに見入っていて後ろは振り返っていないんだけど、あまり人いなかったの?
こんなことを言うとお店の人に怒られるかもしれないけど、
「リハーサル見学」は健一先生のタワレコインストアのお楽しみのひとつだと思うので、
お時間が許すのであれば、遅くとも開演1時間前には現地入りすることをおすすめします。
本編では演奏されないレア曲(洋楽カバーや提供曲)を聴くことができるかもしれないからです。
例えば、2008年の「LIVE without electricity」レコ発インストアのときはエヴァリー・ブラザーズやプレスリー、
翌2009年の「Focus」レコ発インストアでは、徳山秀典くんへの提供曲「Close To Me」とか。
早く着きすぎてリハ開始まで時間が余ったら、売場をぶらぶらして暇つぶしもできるし、ホントおすすめです。
オープニングナンバー「ALL I WANT IS YOU」の直後、機材トラブル発生!
どうやら西山さんの前のモニターから、健一先生と茂村さんの音が聞こえない状態とのこと。
スタッフが慌しく確認作業に入ります。すると健一先生は不意にギターを爪弾き、謎の新曲を即興で披露。
「♪僕の歌がぁー 聞こえますかぁー?」
「聞こえませんね…」とボソッと返事する西山さんが可笑しかったです。
引き続きスタッフがモニター周りを確認している間、健一先生はギターをかき鳴らし、謎の新曲を即興で披露。
「♪僕の歌は届いていますかーっ!!」
その後、照れ臭そうに「…すみません」と謝る先生が可笑しかったです。
結局モニターから音は出ていたそうで一件落着。ボリュームが低かったのかな?良かった良かった。
そんなこんなで、開演前のリハーサルでも演奏された「Soul Kitchen」。
僕はライブで最前列という経験はほとんどないんですが、今回は運よく最前列だったんです。
で、この至近距離で見ると、健一先生って本当にエモーショナルで一生懸命歌う人なんだなぁ、と感動。
次曲の準備でカポタストを付ける際、「また間違えそうになった…」と呟いた先生に、客席から笑いが。
茂村さんはなぜ笑いが起きたかわからなかったらしいんですが、カポタスト事件はカルカルでも話していたし、
今回のプロモーションでラジオ出演した際にも「すべらない話」としてあちこちで話しているので、
数々の黒沢天然エピソードの系譜に連なるものとしてファンの間ではすでに認知度は高いのです。
正しいカポの付け方は上から挟み込む感じ?20年以上、先生は下から挟んでいたということ?
というわけで、5フレットに正しくカポを付けて名曲「(I WANNA) BE WITH YOU」。
カルカルではまだ荒削りな部分も感じられたコーラスも、今日は全体的に洗練されていたような気がします。
先生の主旋律、茂村さんの高音、西山さんの低音。それらが複雑に織り込まれた気持ちのよいハーモニーです。
新宿駅に通り魔が出た、という話題に「えっ、マジ!?」とざわつくオーディエンス。そのリアクションを見て、
「君たち何も知らないんだな!そういうことはスマホで調べなきゃダメだよ!」と毒づく茂村さん。
そこからスマホの話題になったんですが、実はこの3名全員ガラケーユーザーとのこと。
つまり、新宿の通り魔のニュースも全部ガラケーからの情報だったわけです。
そしてどうやらミュージシャンはみんなスマホ使いというイメージが巷に蔓延しているらしく、
ガラケーを使っているとかなり驚かれるそうです。ある日3人がリハーサルでかなりきれいにハモれたときに、
「俺たちはガラケーだからハモれるんだ!スマホなんか持ってる奴にハモれるわけがない!」
…と、先生は力説していたらしい(笑)
なるほど、ガラケー派のプライドと結束力、強靭な仲間意識があの美しいハーモニーの源泉だったのね…。
ガラケー話で健一先生も高揚してきたのか、「ガラケーズ」を結成しよう!と提案するも、
「あまりキャッチーじゃないですね」という西山さんの一言であっさり却下。
健一先生がいまだガラケーと聞いて僕はなぜか安心したんですよね。…この感覚なんとなくわかっていただけますよね。
あ、この人は変わらん。やっぱり信頼できるな、と。いや、スマホ使ってる人は信頼できないというわけじゃないけど(笑)
当然ガラケーを使っているファンの方もたくさんいらっしゃると思うんですが、むしろこれからはガラケーがクールですよ。
さて、いよいよインストアライブも後半戦です。
「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」の終盤、満面の笑みで例のノック・アクションをする先生。
やられたー。今回のアルバムではあの「ドンドン!」というノック音は省略されてしまったので、
てっきりライブでもノック無しかと思っていて、先生のムーブに反応できませんでした。油断してましたね。
今回のアルバムの中でも特に面白い音に仕上がっていると語る「PALE ALE」。僕も同感です。
そしてラストは「Ruby Baby」。エンディングでは、西山さんの激渋ギターソロ、茂村さんのパワフルなハーモニカソロ、
それらに絡む強い意志力を漲らせた先生のボーカルが、渾然一体となって徐々に熱量を上げていく名演でしたね。
永遠にジャムっていてほしいと思いましたが、先生は「じゃ、また」と一言残して颯爽とステージを降りていきました。
すぐさまアンコールを求める拍手が。インストアライブなのにまさかのアンコール!
程なくしてステージに呼び戻されたガラケーズの3人。
ガラケーに新しい情報が入ってきたらしく、先ほどの通り魔のニュースは「デマ」だったそう。
茂村さん: 「ガラケー駄目だな!」
健一先生: 「端末カンケーないでしょ(笑)」
ガラケーズはこれからも「正しい情報」と「良い音楽」を発信していくそうです(笑)
インストアイベントなので本当にアンコール曲は用意しておらず、「今日やった曲でもう一度聴きたい曲ある?」と先生。
客席からの「ペールエール!」の声に応え、本日2度目の「PALE ALE」を演奏してライブはお開きとなりました。
「今日やった曲」という縛りがなければ、個人的には「DAYS」あたりをリクエストしたかったな。
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ライブ後、ステージ前にテーブルが置かれてサイン会が始まります。
「どもども、ご無沙汰してます」とあいさつすると、先生はあの笑顔で「お久しぶり。元気?元気かい?」
そしてなぜか名前を聞くこともなくサインを書きはじめて、いくつか他愛のない会話をして、握手して、
最後は「奥さんとお子さんにもよろしく」とうれしい言葉までいただきました。感激しましたね。
プチニクルが生まれてからずっと妻ニクルと一緒にライブに参加できず、いつも僕ひとり。正直寂しい。
プチニクルも5歳になったし、インストアのような開放ライブならそろそろ家族全員で参加できるかな?
自分の番が終わってからも、しばらくサイン会の様子を眺めていたんですが、これほど丁寧な対応はちょっと記憶にありません。
もちろん先生はいつも優しいんですが、これまではスタッフが時間見てある程度は列を「煽る」こともあったと思います。
しかし今回はそんな気配もなし。「黒沢健一」に本当に伝えたいことを、ひとりひとり、しっかりと、確実に伝えることができるのです。
「神対応」だと思います。これからインストアが予定されている福岡・名古屋・大阪のファンのみなさん、いまからぜひ心の準備を。
2015.1.26(Mon) タワーレコード新宿店 7F
SETLIST
01. ALL I WANT IS YOU
02. Soul Kitchen
03. (I WANNA) BE WITH YOU
04. KNOCKIN' ON YOUR DOOR
05. PALE ALE
06. Ruby Baby (The Drifters)
EN
07. PALE ALE