:: びっくり日記

LIVE V.S.G.P 2010 | V.G編

2010.12.19

初日はV.S.G.P編で、2日目はV.G編。そりゃ「S」と「P」はあったほうがいいに決まってる。
昨日までの僕はそう思っていました。あぁ、なんて浅はかな考えだったんでしょう。
言わずもがな、両日ともに甲乙つけがたい素晴らしいライブでした。

本日のステージ。奥にはソファーが鎮座していて、テーブルの上の花瓶にはバラが2本。
第1部は先生ワンマンステージ。1曲目はウェルカム・ソング。新曲なんだろうけど即興のような気も?
びっくり電話的には、とりあえず「新曲」としてセットリストに追加させていただきましたが、
公式見解としてはどうなのか、いずれにしても「メモカぴあ」で確認する必要があるかもしれません。

2曲目の「方舟」のあと、今回の2daysライブそれぞれの違いについて(噛みながら)丁寧に説明する先生。
「昨日はV.S.G.Pでした。今日はV.Gの日に制定させていただきました」って祝日かい!(笑)
いや、いいですいいです。もうこの際、12月19日と8月11日は国民の休日にしてしまっていいと思うんです僕は。

「今日は楽しんでいって下さい」というあいさつの後にしばし静寂。突然イントロなしで歌われたのは「BE WITH YOU」!
この曲は1986年の時点(ラギース時代)ですでに存在していたことは確かなので、約25年モノということになります。
10代の黒沢健一が書いた曲を、40代になった黒沢健一が歌う。年齢の違いから起こる摩擦を感じないほどの名曲。

弾き語り「CHEWING GUM」は昨年のイバラキックスで披露されたバージョンと同じでしょうか?(僕は不参加でした)
ときに両腕をだらんと下げてLazyにギターを弾き、語尾をHazyに歌う。アップストロークで刻むギターが印象的でした。

「Missing Piece」のあとは、大阪でインストアの弾き語りイベントやったときにものすごくお客さんとの距離が近かった話。
まさにFace to Faceで、PA要らないほどだったと。タワレコの「Focus」レコ発インストアのこと?そんなに近かったのかぁ。

「Silencio」に続き、アルバム未収録曲「赤と黒のブルース」。初出は今年のイバラキックスです。
この曲調は黒沢健一らしくないと見る向きもあるようですが、僕はこういう陰影のある曲も普通に好き。
エンディングでは先生のシャウトと共に一気にテンポが加速して、プツンとカットアウト。かっこいいですね。

同じく未リリース曲「Rock'n Roll Band」は2008年の「TOUR without electricity」横浜赤レンガ公演が初出。
しかし同年のカルカル「SEAT AND MUSIC 2008」、そして今回のライブと少しずつ形を変えているように思いました。
初出のバージョンでは、たしかエンディングにニール・ヤング「Helpless」のワンフレーズが挿入されていたんですよね。
ともかく同時期に披露された「方舟」は無事アルバムに収録されたので、次はぜひとも「Rock'n Roll Band」のリリースを。

ギターを替えて前半最後の曲「Northern Town」です。
昨日のピアノ+フィンガースナップも良かったけど、今日のギター+ハンドクラップバージョンも素晴らしい。
楽曲の核となる部分がアレンジによって左右されない証拠。つまりいつどこでどんな形で聴いても名曲。それが黒沢節。

休憩15分を挟んで第2部のスタートです。第2部は先生とギタリスト菊池真義(以下きくっちゃん)氏のセッション。
先生ネクタイ替えてきた?1部では赤っぽく、2部ではシルバー×黒っぽいネクタイ。2人とも上下黒ずくめの衣装です。
ちなみに僕のレポは衣装についてほとんど触れられないことで有名ですが、要は興味がないので覚えられないんです(笑)
詳しくは、絶賛注文受付中のメモカぴあでご確認下さい!

ギターメインの「What is this song?」は、昨日の弦カルバージョンと比べると良い意味でラフな感じでした。
きくっちゃんのギターはとにかく多彩で細やかですね。緻密でありながら大胆なアレンジが飛び出すところも魅力です。
「Scene39」ではいよいよ1部の緊張から解放されたのか、先生が心底楽しそうに歌っていて、こちらまで自然と笑顔に。
昨日に引き続き、ボイスパーカッションも飛び出します。先生ひょっとして「V.S.G.P」制作中にボイパの楽しさに目覚めた?

演奏が終わると、しみじみとした口調で「人を演奏するのは楽しいなー(笑)」
その口振りから、ひとり舞台の1部は先生といえども相当プレッシャーあったんだろうなぁと推し量ることができました。
きくっちゃんは、1部が良かったのでもうオレ出なくていいじゃん、ピーンと張り詰めた空気に入っていけない、と思ったそうです。
緊張のあまり、ガタガタガタガタと手が震え、トイレで何度も顔を洗ったらしい・・・。それは大げさだろーと笑う健一先生。
でもたしかに「Silencio」「赤と黒のブルース」「Rock'n Roll Band」あたりの緊張感はただごとではなかったように思います。

ギターを静かに爪弾かれてはじまったのは、NRBQの「I Love Her She Loves Me」・・・ではなく「Morning Sun」。
そして、そのまま流れるように「Mad Man Across The Water」。穏やかなギターの音が心地よいです。
ここ数年の先生のボーカルスタイルは鼻にかけて喉に落とす鼻濁的?唱法が強調されていて、
それによって、おそらく倍音のような厚みのある独特の響きを生み出しているように思うんですが、
「Mad Man~」に関してはもっとクリアーな抜ける声で聴きたいなーなんてちょっぴり思ったりしました。
そして「1stアルバムから、モーニングサンと、マッドゥメァンアクロゥスダワラでした」と、今回も発音良すぎな先生(笑)

「V.S.G.P」制作にあたり、先生やきくっちゃんはエンジニア永井さんのスタジオにひと夏通い詰めたそうです。
このあたりの話は、昨日から会場で販売されている「V.S.G.P NAKED」封入のリーフレットに詳しいんですが、
「NAKED」をあらためて聴くと、自分のギターが大フィーチャーされていることにきくっちゃん自身かなり驚いたとのこと。
しかし、どうやらこのCDはきくっちゃんに秘密にして作っていたらしく、「勝手にやってる!」と先生に対してブーイング。
遠山さんに黙って「V.S.GP」を作り、きくっちゃんに黙って「V.S.G.P NAKED」を作り、そりゃ非難されますがな(笑)
「レコーディングに参加してもらってる人になんで言わないんだろう俺(笑)」と先生も自問。驚かせたいんでしょうね。

さらに「V.S.G.P DISC1ではピアノ消えてる」という昨日の遠山発言に触れ、「消したのはわざとです」と開き直るきくっちゃん。
一連のアレンジ作業を進めている間に、「これってピアノじゃなくてギターでもよくなくなくなーい?」と思ったのだそうです(笑)
DISC2では遠山さんが大活躍しているし、もはやタイトルは「遠山裕」であると先生。「遠山裕 featuring 黒沢健一」であると。

うあーすみません。このあたりのMCに関してはたぶん順番や内容もめちゃめちゃです。あとは・・・なんだっけ?
あ、そうだそうだ。リハーサルのときに先生自らコーヒーを淹れてくれるらしいですね。わざわざ豆から挽いてるとか。
先生は凝り性だから絶対に美味しいと思う。いつか「喫茶クロサワ」がオープンした暁には毎日通い詰めたい!(妄想)

面白かったのが、リハーサルで気合を入れるために2人が編み出した秘技「バーチャル高校生」?
プロのミュージシャンではなく、バンドを組んだ高校生気分でリハーサルに勤しむという手法らしいです。

# オリジナル曲を書きためている健一先生と、スゴ腕ギターのきくっちゃん。2人は同じ高校の違うクラス。
# 彼らが音楽をやっているという事実は学内ではほとんど知られていないが、ひょんなことから2人はユニットを結成、
# 2ヵ月後の学園祭でみんなをびっくりさせようと企んでいる。「あいつらオリジナル曲やってる!BOOWYじゃないぜ!」


そんな風に言われたい!人気者になりたい!というバーチャル感覚で、普段あまりリハで熱くならないきくっちゃんも、
「オーシ!やる気出てきた!」と、力がみなぎるんだそうです。まさしくそれって「バンやろ!」的な初期衝動(笑)
そして先生は僕たちオーディエンスに「バーチャル事務」を提案。会社に入りたての新社会人気分で仕事をこなすと、
「俺ってこんなに事務仕事が早かったんだ!」となるはず。・・・話の着地点が見えないまま「NICE TO MEET YOU」へ(笑)

ここでステージ奥手のソファーに移動して、先生ときくっちゃんでスタジオセッションを再現するという趣向のコーナー。
「V.S.G.P NAKED」に、本物のスタジオ写真あるんですが、たしかにソファーが目立ちますね。再現性はどうなんだろ。
それにしてもなんか2人とも遠いなー。でもステージの隅っこで小さくまとまってる感じの画がなんとなく面白い。
まずは先生がジャカジャカとテキトーな感じに弾き始め、それにきくっちゃんのギターもくねるように動き回ります。
やがてそれらが少しずつ集約され内側から熱を帯びてくると、そのまま「Do we do」のイントロに突入!超かっこいい!
おそらくアドリブであろうギターソロにもしびれた。Focusツアーに参加して、この曲でギター弾き倒してほしかったなぁ。

「Package」でも強烈なボイスパーカッションを披露する先生。これはビートボックスと言ったほうが適切かも。
ていうかみなさん、きくっちゃんのギタープレイ観ました?フレット上をすべるように高速移動する指・指・指。まさに鬼です。

怒涛の2曲が終わり、「まだまだ何曲でも来いやー!」と言わんばかりにテンションの高い健一先生とは対照的に、
ぐったりソファーの奥に身を沈めるきくっちゃん。この光景は何かを僕に思い出させる・・・と思ったら、健'zですよ、健'z。
リハーサルでもっと歌いたいという先生⇔家に帰って原稿書きたいという健太さん。そんなエピソードを過去日記から抜粋。

# どうやらリハーサルでも健太さんはノリノリの健一先生に振り回されっぱなしらしく、
# 「健一・・・俺、家に帰って原稿書かなきゃいけないんだよ」
# 「えー、もう1曲歌いましょうよー」
# といった感じの会話がたびたび展開されているとのことです。


ちなみに先生ときくっちゃんのセッションテープはたくさんあって、色々なセリフや会話まで記録されているらしい。
「いまのソロとても良いと思います!」と急に丁寧語になる先生とか。うわーいつかBOXセットで一挙放出して!

以上で熱いスタジオセッション再現コーナーは終了。いそいそと元の位置に戻る2人。
ライブ音源にダビングを重ねるというアイデア。頭で音が鳴っても実際アウトプットしたものは理想と違う。
そういった意味で「V.S.G.P」は納得できる作品に仕上がりました。スタッフや周りの人たちのおかげです。
みなさんも自分のイマジネーションを大切にモノ作りしたり、仕事に役立てて下さい。「Somewhere I can go」。

きくっちゃんが思い出させてくれた曲、と前置きして「Keep the circle turning」で本編終了。
この曲がライブで演奏されたのは昨年のイバラキックスが初めてだけど、やがてアルバムに収録されるまでになろうとは、
そのときはきくっちゃんも思わなかったでしょうね。やっぱり菊池セレクトは僕たち黒沢ファンにとっても信頼のブランドです。

程なくアンコール。わー!昨日遠山さんが着てたギラギラギンにさりげなくないベスト着てきくっちゃん出てきたー!
しかも照明がスパンコールに反射して、なんだか昨日よりもまばゆいんですけど(笑)
「楽屋にあったんだよ」と、きくっちゃん。「脱いでいい?」「普通脱ぐだろそれ。ギターに傷がつきそうだし」

昨日の「Northtown Christmas」に続き、本日のクリスマスソングは「RED&BLUE」です。
穏やかでリリカルな名曲。健一先生の気品のあるソフトなボーカルが楽曲の世界を美しく照らし出します。

「この曲をアコギだけでやったらどうなるんだろう」と思いつき、昔(2002年・名古屋ELL)きくっちゃんと一緒にやった曲。
つまり、「V.S.G.P」へとつながるひとつの源流になったともいえる「Rock'n Roll」がアンコール2曲目。熱演でしたね!
もはやオリジナルバージョンよりも、きくっちゃんと2人のこの激烈なバージョンが「本命」のような気がしてきました。
そして「遠くまで」でほっこりアンコール終了。この時点でまだ19時前だったんだけど先生はやっぱり「おやすみなさい!」
いや、まだ誰も寝ません(笑)

そしてそして、情熱のダブルアンコールは再びの「Do we do」。
本編のセッションコーナーで披露されたバージョンより、荒削りなFocusツアーのそれに近い印象でしたね。
先生は頭を振り乱しながら「ワンモアターイム!」と連呼し、きくっちゃんのソロパートを延ばしに延ばします。
もう最後は2人とも何かに急かされているかのように加速加速!「ドゥーーイードゥーーーー↑↑」でフィニッシュ!

終演後ロビーできくっちゃんと増本さんがフウロミンのCDを手売りしていて、即売サイン会状態だったらしいです。わお!

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LIVE V.S.G.P 2010 V.G編 ギターと歌の夕べ
2010.12.19(Sun) 東京グローブ座
SETLIST

01. 新曲(♪Welcome My Show, Welcome Tonight)
02. 方舟
03. (I WANNA) BE WITH YOU
04. CHEWING GUM
05. Missing Piece
06. Silencio
07. 赤と黒のブルース
08. Rock'n Roll Band
09. Northern town
10. What is this song?
11. Scene39
12. Morning Sun
13. Mad Man Across The Water
14. NICE TO MEET YOU
15. Do we do
16. Package
17. Somewhere I can go
18. Keep the circle turning
EN
19. RED&BLUE
20. Rock'n Roll
21. 遠くまで
EN2
22. Do we do

M01-09 黒沢健一 
M10-22 黒沢健一+菊池真義



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