:: びっくり日記

LIVE TIME BEST TOUR 2015 "BEST VALUE"

2015.03.27

ツアーファイナルとなる赤坂BLITZ公演は、黒沢健一ロック・チューンの最高傑作「NEW WAYS TO SEE THE WORLD」で幕を開けました。Focusツアーと同じオープニングですが、とにかく音が若い!前のめりで小気味よくハネるドラムに急き立てられ、崩壊ギリギリに疾走するノイジーなギター。秀でた合奏力に加えてその強いエネルギーの放出は、新バンドの名刺代わりとしてはインパクト十分だったと思います。

最新アルバム「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」では、ややtoo muchの感があったキーボードの存在ですが、ライブでは絶妙なバランスに調整されていました。その音色には艶があり、曲中に挟み込まれる短いフレーズのひとつひとつがセンスと閃きを感じさせるものでした。特に白眉だったのは、繊細なフレージングと柔らかいキータッチで、ひたすら美しい音を散りばめていく「Dreams」。各会場ごとに異なった表情を見せたという間奏のアドリブも見事でした。

会場先行でCD-Rが販売された新曲「Looking For The Places」は、Aメロは完全に「Easy Romances」だし、丸みを帯びた黒沢印のメロディーには間違いないんですが、ほんのり土の香りがするのはスライドギター等のアレンジによるところが大きいですね。キーボード→ギターと受け渡されるソロパートは名演。続くイーグルスのカバー「Take It To The Limit」も絶品でした。10月のビルボードはやはり行くべきか…。

もうひとつの新曲「Boots」は瑞々しいロックナンバー。ギターの音が太い!しかし健一先生の作るロックンロールは、荒々しさの中にも、どこかに品の良さ、ノーブルさが残っているんですよね。粗野であっても下品にならない。この曲のサビはメロディーだけ取り出したらBOSTONみたいだし。そんな「Boots」のシャウトが生み出した余熱の中、「Scene39」「PALE ALE」「So what?」「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」と畳み掛ける流れは圧巻でした。「So what?」はエンディングの例の暴走がなく少し物足りなかったけど、西山さんのギターソロがキレッキレだったし、むしろ「爆発」しないことでユニークなグルーヴを獲得していたことは特筆に値するのではないでしょうか。

「DAYS」「TOO LONELY TO SEE」の2曲を除き、「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」の収録曲は、すべて演奏されたわけですが、アルバムを聴いた当初に抱いたアレンジ面の不満(というより戸惑い)なんて、ライブではこれっぽっちも気にならなかったですね。はじめは「アレンジの違い」ばかりに注目していたけど、それより「ボーカルの成熟」に価値があったのだと確信しました。事実、アンコールで歌われた「ブルーを撃ち抜いて」にいたっては、アレンジ云々を超えてそこにはもう「歌」しかありませんでした。この曲には2007年「年末歌い納め」のトリプルアンコールの絶唱がありますが、まぁあれは別格として、今回のバージョンも情念の表出が際立つ感動的なものでした。

終演後の客出しBGMが流れる中、オーディエンスの熱烈な要求に応えたダブルアンコール。演奏曲は出尽くしているわけで、本編で演奏された「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」をリプリーズ。元来アンコールというものはこれでいいんですよね。最後はマイクを客席に向けてオーディエンスがサビを合唱。ライブ全体としては、MC少なめであくまで曲を聴かせることが徹底されていた印象でした。シリアスさや憂いはほとんどなく、ウエストコースト・ロックに対する憧憬と演奏の喜びにあふれたステージでした。

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2015.3.27(Fri) 赤坂BLITZ
SETLIST

01. NEW WAYS TO SEE THE WORLD
02. ALL I WANT IS YOU
03. SOUL KITCHEN
04. (I WANNA) BE WITH YOU
05. (YOU DON'T NEED) NOTHIN' TO BE FREE
06. Maybe
07. HELLO, IT'S ME
08. Looking For The Places
09. Take It To The Limit (Eagles)
10. Dreams
11. Boots
12. Scene39
13. PALE ALE
14. So what?
15. KNOCKIN' ON YOUR DOOR
16. 遠くまで
17. Wondering
18. Rock'n Roll Band
EN
19. SHOW MUST GO ON
20. ブルーを撃ち抜いて
EN2
21. KNOCKIN' ON YOUR DOOR



メッセージはお気軽にどうぞ。

黒沢健一::黒沢健一


KIRIN BEER "Good Luck" LIVE

2015.02.14



TOKYO FM、公開収録のスタジオ生ライブ。
幸運にも招待状が当選して、妻ニクルと一緒に現地参加することができました。



オンエア前は写真撮影フリー。ライブはいつものアコースティック3人編成でした。
ギターは、左からエピフォン(西山さん)、ギブソン(健一先生)、ギブソン(茂村さん)。



先生のギターは、先日の文化放送スタジオライブ中村貴子さんスタジオ突撃時と同じものですね。



番組内で乾杯して、さらにはこんなスーベニールまで。KIRINさん太っ腹!
番組サイトにライブレポ(画像+セットリスト)が公開されています。

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2015.2.14(Sat) TOKYO FM スタジオイリス
SETLIST

01. DAYS
02. PALE ALE
03. ALL I WANT IS YOU
04. Soul Kitchen
05. Maybe
06. (I WANNA) BE WITH YOU
07. Take It To The Limit (Eagles)
08. KNOCKIN' ON YOUR DOOR


■ Lucky / SUPERCAR


> ひろニクルさん、こんばんは。Junです。
> 一年越しのお返事ありがとうございました。もちろん今でも、毎日のように覗かせていただいてます。
>
> 今回のツアーが決まった時から、喜びつつもいつものメンバーじゃないことに不安を感じたり、
> カルカルには行けなかったのでひろニクルさんのレポを読ませていただいて、
> 私ちゃんと着いて行けるかな?と思ったり(もちろんひろニクルさんの正直なレポにはいつも感謝してます)
>
> 実際タワレコで「ALL I WANT IS YOU」を聴いた瞬間に、
> 「一昔前!?」とびっくりしてしまったり(コーラスに…)したのですが、
> その後ファン歴20年にして初めてサイン&握手&トークという怒涛の展開を迎え、
> 健一くんのあまりの優しさにクラクラしてしまい…どこまでも深く理解したいし、何があってもついて行くし、
> 批判するなら先生の音楽精神にのっとって100回くらい聴き込んでから、と心に決めました。現金ですね…
> でもキーはなるべく下げない方が好きですが(笑)


一年越しのお返事失礼しました(笑) タワレコインストアの先生は神対応だったわけですが、
各地方のインストアでも、Junさん同様にクラクラした方は多かったようですよ。本当に優しい。
アルバムのプロモーションで出演したあちらこちらのラジオ番組やインタビュー記事を見ると、
「いつものメンバーじゃない」からこそ今回のツアーは必見!・・・と先生はおっしゃってますね。
恒久的なメンバーではないでしょうし、これはこれで良し、と割り切って楽しもうと思っています!
↓続き↓

> 長くファンをやってると熟年夫婦(?)みたいになってきますが、
> タワレコに行った日から、中学時代のような目がハート状態です。
> カッコいい健一くんが見たくて久々に「Rock'n Roll」のPVを見ましたが、
> あの随所に織り込まれるセミヌードは何なのでしょうか(健一くんのではない)
> ひろニクルさんにはいつか、PVレビューも執筆していただきたいです(笑)
>
> 毎日寒いですが、ひろニクルさんもお体に気を付けて楽しくお過ごしくださいね。


熟年夫婦が思春期のようなトキメキを取り戻したわけですね(笑)
「Rock'n Roll」のPVってそんなのでしたっけ?実はPVってあまり見たことないんです。
「遠くまで」の意味不明さ、「ALL I WANT IS YOU」の変装ネタは覚えているんですが・・・。
機会があればぜひPVレビューもしてみたいですねー。ありがとうございます!

> ひろニクルさん、今晩は。
> まさかニクルさんもグッドラックライブにいらしていたとは。前方にいらっしゃったご夫婦かと思います!
> 私は、友人を巻き込み一人エアー乾杯で写真を撮って貰っていた者です。
> ちょくちょく拝見させて頂いています。これからも宜しくお願いします。
> インストアもさりげなくお見かけしました。 raindrop


raindropさん、こんばんは。"Good Luck" LIVE、お疲れ様でした。楽しかったですね!
はい、そうです。西山さん側の最前列にいたちびっこ夫婦です。インストアは僕ひとりでした。
ぜひ次回はご挨拶させてくださいね。いつもありがとうございます!



メッセージはお気軽にどうぞ。

黒沢健一::黒沢健一


「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」 レコ発インストア

2015.01.26

本日のインストア会場であるタワーレコード新宿店7階に到着すると、
フロア隅に設営されたステージではスタッフがマイクテスト中でした。マイクとギターが3本ずつ。
どうやら先月のカルカル2部と同様、黒沢健一+茂村泰彦+西山太郎のアコギ3人編成のようです。
ここで僕は8階のトイレにGO!戻ってきてもまだまだスタッフのマイクテストは続いてました。長いよ!

チェック柄のシャツでキメたジョージ社長の姿が否が応でも目に飛び込んできます。
しばらくすると、チェックのシャツを着た茂村さんとチェックのシャツを着た西山さん登場。
これで健一先生までチェックのシャツだったら怒って帰ろうかと思ったんですが(笑)、
ステージに現れた先生はシンプルな黒無地のシャツだったので事なきを得ました。

「あ、リハーサルです」と先生。はい、知ってます。リハ1曲目はイーグルスの「Take It To The Limit」。
初めて演奏した曲らしいんですが、もう何年もずっと持ち歌にしてきたような練達さと貫禄がありました。
先生のボーカルは言うに及ばず、3人のギターもコーラスワークも、重量感のある味わい深いものでした。
カルカルのときに、この3人の音楽はウエストコースト・ロックを志向しているのかなぁ、と感じたんですが、
今回のイーグルスでそれは確信に変わりました。

先生のマイクテスト。「♪ヘイヘーイ」「♪トゥール トゥットゥー」と矢継ぎ早に短いフレーズを繰り返し、
ハイからローまできれいに音が出ているか確認します。なんというか、僕はもうこれだけで痺れるというか、
いっそマニア向けに『黒沢健一マイクテスト集』とかCD出してください!タワレコ限定で。絶対買いますよ。

リハーサル2曲目は「Soul Kitchen」を2コーラスのみ(大サビ前まで)。
茂村さんと西山さんは、モニターやマイクの音量等についてスタッフに細かく指示を出していましたが、
先生は「いいっすね。俺は大丈夫。本番をお楽しみに」と客席に手を振りながら立ち去っていきました。

+ + +

例によって、本番前は整理番号順に階段に整列。その後、順次ステージ前の観客エリアへ向かいます。
先生はステージに登場するなり「リハーサルでは少なかったけど、こんなにたくさん来てくれてありがとう」。
え、リハーサルのとき僕はステージに見入っていて後ろは振り返っていないんだけど、あまり人いなかったの?

こんなことを言うとお店の人に怒られるかもしれないけど、
「リハーサル見学」は健一先生のタワレコインストアのお楽しみのひとつだと思うので、
お時間が許すのであれば、遅くとも開演1時間前には現地入りすることをおすすめします。
本編では演奏されないレア曲(洋楽カバーや提供曲)を聴くことができるかもしれないからです。
例えば、2008年の「LIVE without electricity」レコ発インストアのときはエヴァリー・ブラザーズやプレスリー、
翌2009年の「Focus」レコ発インストアでは、徳山秀典くんへの提供曲「Close To Me」とか。
早く着きすぎてリハ開始まで時間が余ったら、売場をぶらぶらして暇つぶしもできるし、ホントおすすめです。

オープニングナンバー「ALL I WANT IS YOU」の直後、機材トラブル発生!
どうやら西山さんの前のモニターから、健一先生と茂村さんの音が聞こえない状態とのこと。
スタッフが慌しく確認作業に入ります。すると健一先生は不意にギターを爪弾き、謎の新曲を即興で披露。

「♪僕の歌がぁー 聞こえますかぁー?」

「聞こえませんね…」とボソッと返事する西山さんが可笑しかったです。
引き続きスタッフがモニター周りを確認している間、健一先生はギターをかき鳴らし、謎の新曲を即興で披露。

「♪僕の歌は届いていますかーっ!!」

その後、照れ臭そうに「…すみません」と謝る先生が可笑しかったです。
結局モニターから音は出ていたそうで一件落着。ボリュームが低かったのかな?良かった良かった。

そんなこんなで、開演前のリハーサルでも演奏された「Soul Kitchen」。
僕はライブで最前列という経験はほとんどないんですが、今回は運よく最前列だったんです。
で、この至近距離で見ると、健一先生って本当にエモーショナルで一生懸命歌う人なんだなぁ、と感動。

次曲の準備でカポタストを付ける際、「また間違えそうになった…」と呟いた先生に、客席から笑いが。
茂村さんはなぜ笑いが起きたかわからなかったらしいんですが、カポタスト事件はカルカルでも話していたし、
今回のプロモーションでラジオ出演した際にも「すべらない話」としてあちこちで話しているので、
数々の黒沢天然エピソードの系譜に連なるものとしてファンの間ではすでに認知度は高いのです。
正しいカポの付け方は上から挟み込む感じ?20年以上、先生は下から挟んでいたということ?

というわけで、5フレットに正しくカポを付けて名曲「(I WANNA) BE WITH YOU」。
カルカルではまだ荒削りな部分も感じられたコーラスも、今日は全体的に洗練されていたような気がします。
先生の主旋律、茂村さんの高音、西山さんの低音。それらが複雑に織り込まれた気持ちのよいハーモニーです。

新宿駅に通り魔が出た、という話題に「えっ、マジ!?」とざわつくオーディエンス。そのリアクションを見て、
「君たち何も知らないんだな!そういうことはスマホで調べなきゃダメだよ!」と毒づく茂村さん。
そこからスマホの話題になったんですが、実はこの3名全員ガラケーユーザーとのこと。
つまり、新宿の通り魔のニュースも全部ガラケーからの情報だったわけです。
そしてどうやらミュージシャンはみんなスマホ使いというイメージが巷に蔓延しているらしく、
ガラケーを使っているとかなり驚かれるそうです。ある日3人がリハーサルでかなりきれいにハモれたときに、

「俺たちはガラケーだからハモれるんだ!スマホなんか持ってる奴にハモれるわけがない!

…と、先生は力説していたらしい(笑)
なるほど、ガラケー派のプライドと結束力、強靭な仲間意識があの美しいハーモニーの源泉だったのね…。
ガラケー話で健一先生も高揚してきたのか、「ガラケーズ」を結成しよう!と提案するも、
「あまりキャッチーじゃないですね」という西山さんの一言であっさり却下。

健一先生がいまだガラケーと聞いて僕はなぜか安心したんですよね。…この感覚なんとなくわかっていただけますよね。
あ、この人は変わらん。やっぱり信頼できるな、と。いや、スマホ使ってる人は信頼できないというわけじゃないけど(笑)
当然ガラケーを使っているファンの方もたくさんいらっしゃると思うんですが、むしろこれからはガラケーがクールですよ。

さて、いよいよインストアライブも後半戦です。
「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」の終盤、満面の笑みで例のノック・アクションをする先生。
やられたー。今回のアルバムではあの「ドンドン!」というノック音は省略されてしまったので、
てっきりライブでもノック無しかと思っていて、先生のムーブに反応できませんでした。油断してましたね。

今回のアルバムの中でも特に面白い音に仕上がっていると語る「PALE ALE」。僕も同感です。
そしてラストは「Ruby Baby」。エンディングでは、西山さんの激渋ギターソロ、茂村さんのパワフルなハーモニカソロ、
それらに絡む強い意志力を漲らせた先生のボーカルが、渾然一体となって徐々に熱量を上げていく名演でしたね。
永遠にジャムっていてほしいと思いましたが、先生は「じゃ、また」と一言残して颯爽とステージを降りていきました。
すぐさまアンコールを求める拍手が。インストアライブなのにまさかのアンコール!

程なくしてステージに呼び戻されたガラケーズの3人。
ガラケーに新しい情報が入ってきたらしく、先ほどの通り魔のニュースは「デマ」だったそう。

茂村さん: 「ガラケー駄目だな!」
健一先生: 「端末カンケーないでしょ(笑)」

ガラケーズはこれからも「正しい情報」と「良い音楽」を発信していくそうです(笑)
インストアイベントなので本当にアンコール曲は用意しておらず、「今日やった曲でもう一度聴きたい曲ある?」と先生。
客席からの「ペールエール!」の声に応え、本日2度目の「PALE ALE」を演奏してライブはお開きとなりました。
「今日やった曲」という縛りがなければ、個人的には「DAYS」あたりをリクエストしたかったな。

+ + +

ライブ後、ステージ前にテーブルが置かれてサイン会が始まります。

「どもども、ご無沙汰してます」とあいさつすると、先生はあの笑顔で「お久しぶり。元気?元気かい?」
そしてなぜか名前を聞くこともなくサインを書きはじめて、いくつか他愛のない会話をして、握手して、
最後は「奥さんとお子さんにもよろしく」とうれしい言葉までいただきました。感激しましたね。
プチニクルが生まれてからずっと妻ニクルと一緒にライブに参加できず、いつも僕ひとり。正直寂しい。
プチニクルも5歳になったし、インストアのような開放ライブならそろそろ家族全員で参加できるかな?

自分の番が終わってからも、しばらくサイン会の様子を眺めていたんですが、これほど丁寧な対応はちょっと記憶にありません。
もちろん先生はいつも優しいんですが、これまではスタッフが時間見てある程度は列を「煽る」こともあったと思います。
しかし今回はそんな気配もなし。「黒沢健一」に本当に伝えたいことを、ひとりひとり、しっかりと、確実に伝えることができるのです。
「神対応」だと思います。これからインストアが予定されている福岡・名古屋・大阪のファンのみなさん、いまからぜひ心の準備を。



2015.1.26(Mon) タワーレコード新宿店 7F
SETLIST

01. ALL I WANT IS YOU
02. Soul Kitchen
03. (I WANNA) BE WITH YOU
04. KNOCKIN' ON YOUR DOOR
05. PALE ALE
06. Ruby Baby (The Drifters)
EN
07. PALE ALE



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黒沢健一::黒沢健一


SEAT AND MUSIC 2014

2014.12.26



いきなりテンション高めで登場。「カルカル初めての方ー?」というアンケートも恒例になりました。
まだまだ初参加の方もいらっしゃるようですね。

今年も休憩を挟んでの2部構成。第1部は黒沢健一ソロ弾き語りです。
いつものパートナー遠山さんはいません。今年は物販がなかったのでジャパネットは不要だった?
否。先生曰く、プライベートライブのような感じでやりたかったんだそうです。

この日は冷え込みが厳しく「出かけるのをやめて自宅でMステ見るか…となってもおかしくない」と先生。
あと、カルカル店長の横山シンスケさんのヤンキー度が年々増している、というお話もありましたかね。

8年目のカルカルライブは「Many Things」で幕開け。
続く「Feel it」は、弾き語りではスローバージョンで披露される機会が多かったけど、本日は快速で。
やっぱりこのテンポが正解ですね。

「記憶違いかもしれないけど、この曲はカルカルで初めて演奏したと思います」という曲紹介から、「Scene39」。
残念ながらこの曲の初出は、ソロ再始動の第1弾イベントとなったアップルストア銀座(2007年12月23日)ですね。
ちなみにカルカルで初披露された曲は「Grow」です(2008年12月27日

さて、カルカルライブのお楽しみのひとつは、この日だけの特別限定メニューです。



撃ち抜きテイスト(笑)。あと「HELLO」にさりげなくポッキーが付いてるのがポイントです。
でも僕は投薬中のため、ジンジャーエールをちびちびと。来年こそは撃ち抜かれたいっ!

愛の言葉と僕のかけらが秋風に舞うことでおなじみの「Missing Piece」ですが、
途中で「愛のかけら」「僕の言葉」と歌詞を入れ替えて歌われたのが印象的でした。
健一先生はリリース当時の歌詞を意識的に変更することが結構ありますが、この曲も?
元々こういう歌詞でしたっけ?

「So What?」にはしびれました。「Feel it」「Scene39」でも顕著でしたが、
健一先生のガッツあるギタープレイ、とりわけアップストロークのキレの良さは特筆すべきですね。

「来る日も来る日も、という曲をやります」と、気持ちよさそうに「Day By Day」を歌い上げ、名曲「Silencio」へ。
グローブ座でも感じましたが、地の歌声とファルセットを往復する際の滑らかさを先生は取り戻りつつあります。

パワフルな「遠くまで」で、オープニングアクト「黒沢健一」による第1部は終了。
最小構成、まさに引き算の美しさである弾き語りライブでした。質素にして豪華な至芸。
この時点で十分満足してしまいましたが、準備にかなりの時間を費やしたという第2部への期待も高まります。

+ + +

第2部では、来年リリースされるアルバム「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」に参加し、
ツアーにも帯同する茂村泰彦さん(シゲさん)と西山太郎さんのお二人がゲストで登場しました。
先生を挟んで3人が横一列に並んだので、ステージ真横のカウンターに着席されている方々からは先生の姿が見えにくそう。
ニューアルバムのテイスト(ただしドラムとベース抜き)で演奏するということで、第2部のセットリストはほとんどが新作から。

まずは名曲「ALL I WANT IS YOU」からスタート。冒頭からシゲさん西山さんの「アー」という重厚なコーラスに耳を奪われます。
「Soul Kitchen」でもサビでは分厚いコーラスが前面に。遠山さんのソフトで繊細なコーラスとは異なり、がっつり骨太な印象。
この曲では西山さんのスライドギターが素晴らしかったと思います。
西山さんのプレイスタイルは、複雑な展開を楽しむように弾きまくるきくっちゃんとはタイプが異なりますが、
いぶし銀とも評すべき重心の低い音色が魅力的ですね。

「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」をアメリカレコーディングするにあたり、
「きっと(原曲の)難しいコードとか省略されるよ」とシゲさんに言われた先生。結果それは事実だったらしい。うーん…。
そしてラスベガスのホテルは入口から部屋までなかなかたどり着かないとか、ホテルの中に公園があるとか、
とにかくそのスケール感に圧倒されたそうで、先生は今年中に誰かにこの思いを伝えたかったらしい(笑)

シゲさん 「健一くんもアメリカ行ったら大きくなるんじゃないの?」
健一くん 「…背ですか?」

個人的に「Maybe」のアレンジは好みではありませんでした。Aメロ「♪6月のー」直後の下降コードは省略されているし、
「♪またいつかー (♪まぁーたぁーいぃーつぅーかぁー)」という追っかけコーラスも、やや過剰でベタです。
原曲の、大げさな誇張のない精妙さ、あの淡いフィーリングが今度のアルバムで失われていないといいんですが…。
もっとも先生や遠山さんならこういうアレンジはしないだろうから、そういう意味では新鮮な発見があるかもしれません。

さて、「I WANNA) BE WITH YOU」「DAYS」と、10代の黒沢健一少年が生み出した名曲たちが続きます。
リリースこそL⇔R名義ですが、それよりずっと前、茨城時代から存在していた曲として知られています。
これまでミックス違いやバージョン違いはありましたが、あらためてリメイクされるのは初めてですよね。
どちらも原曲の清々しさに加え、より丸みと柔らかさを加えた素晴らしい演奏だったと思います。
「DAYS」は「たぶんライブでは初めて」とおっしゃっていましたが、「Let me Roll it!!」ツアー全公演で演奏されているので、
おそらくは、「ソロになってからは初めて」という意味だったのかな、と思います。

そういえば、先生のカポタストの付け方が間違っていることを、西山さんに指摘されたらしいんですが、
なんとデビュー以来ずっと逆に付けていたそうで、なぜいままで誰も言ってくれなかったのか、と憤慨する先生(笑)
ちなみに今回の指摘を受けて正しく取り付けてみたところ、やっぱり良い音がしたそうです。

たしか「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」と「PALE ALE」を聴いているときだったと思うんですが、
「いま僕は黒沢健一を聴いているのだろうか」と、ふと感じたんですよね。あくまで個人的かつ感覚的な話なんですけど。
もちろんいまそこで歌っているのは確かに黒沢健一本人なのですが、聴こえてくるのは「黒沢健一の音楽」ではなく、
何か別のオルタナティヴなもののように思えて、感情移入できない場面があったことは事実です。

もちろん感じ方は人それぞれなのです。新しい風が吹き込まれて楽曲の魅力が増したと思う方もいると思います。
僕は「黒沢健一」至上主義であって、別に「原曲」至上主義ではないので、過去の名曲を聖域化することはしないし、
リメイクや再レコーディングには寛容なんですが、いったいこのモヤモヤした感情は何なんだろうと考えたわけです。
そして、それは黒沢健一という音楽の「純度」の問題なのではないか、という結論に達しました。
黒沢健一の音楽を全面的に信頼していて、なおかつその純度の高さに心酔しているので、
先生の手から離れたところで施された「第三者的アレンジ」を受け入れる準備ができていなかったのかもしれません。

アンコールの「Rock'n Roll Band」は、またもや先生単独の弾き語りだったんですが、
「やっぱりこれだよこれ!」と思ってしまった僕は本当に心が狭いなー、鎖国的だなー、と思うわけです(笑)
でも、まずは先入観なしにアルバム聴いてみるべきですね。サウンド・プロダクションによって印象は全然違うので。

ストイックかつ禁欲的な響きを追求した第1部と違い、第2部ではどこか開放的な空気を感じました。
音楽的にはウェストコースト・ロックの雰囲気もあり、サザン・ロックの泥臭い感じもあり、フォークの要素も?
さらに、健一先生を含め3人が横一列に並んで、ギター&コーラスするというステージ上のビジュアルからも、
イーグルスかCSN&Yか、はたまたGAROかアルフィーか、といった趣きさえありました。

健一先生は楽しそうでしたが、かなり緊張したそうです。デビュー当時を思い出すような感覚だった、と。
たしかに遠山・菊池・岡井バンドだと、阿吽の呼吸というか、アイコンタクトひとつでお互いすべて通じ合えるだろうし、
良い意味でも悪い意味でも鉄壁すぎて、アクシデントを「予定調和」にできてしまう余裕さえ感じられます。
今回はそのような拠りどころがない環境下において、先生も大船に乗った気分ではいられなかったのでしょう。
それも来年のツアーではよりバンドとしての強度が増し、新しい黒沢健一の音楽を届けてくれると思います。

セルフカバーアルバム「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」は、2015年1月21日リリース!

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2014.12.26(Fri) 東京カルチャーカルチャー
SETLIST

<第1部> 黒沢健一ソロ弾き語り
01. Many Things
02. Feel it
03. Scene39
04. Missing Piece
05. So what?
06. DAY BY DAY
07. Silencio
08. 遠くまで
<第2部> 黒沢健一+茂村泰彦+西山太郎
09. ALL I WANT IS YOU
10. Soul Kitchen
11. Maybe
12. (I WANNA) BE WITH YOU
13. DAYS
14. KNOCKIN' ON YOUR DOOR
15. PALE ALE
16. Ruby Baby
<EN> 黒沢健一ソロ弾き語り
17. Rock'n Roll Band


■ She Didn't Mean Much To Me/Science Ministry


> ひろ二クルさん、こんばんは。
> 随分ご無沙汰しております。体調は崩されてませんか。
>
> 私、5月17日大阪カフェルームに行ってまいりました。
> カルカルよりアットホームで健ちゃんと菊池さんの掛け合いが最高でした。
> ギターセッションは痺れてしまいました。「パッケージ」カッコよかったです(^_-)-☆
> こんな近くで見ていいのかなあ、なんて幸せなんだろうと、うっとりしてました。
> 私たちのしぶといアンコールにも優しく応えてくださり、なんて心が広いんだろうと感動しました。
> 今回もまたまた握手していただいたのですよ(^o^)丿 嬉しすぎ!!!!
>
> 年末のカルカルには何がなんでも参加しようと決意したのでした。
> ひろ二クルさんにもお会いできるかも・・・と思って・・・楽しみにしています。


こんばんは。だいぶ前にメッセージいただいていたのにお返事が遅れてすみません。
大阪カフェライブ、かなーりステージ(と呼べるのか?)との距離が近かったと聞きました。
握手もよかったですねー。その手からこれまで数多くの名曲が産み落とされたのです。
年末のカルカルにはいらっしゃったのでしょうか。今年もよろしくお願いします。

> ひろニクルさん、こんばんは!お久しぶりです。サンクスです。
>
> 早速のセットリスト更新、あまりの速さに驚きです。
> カバー曲もしっかり押さえられていて、いつもながらすごいですね(生解説を聴きたいくらいです)
>
> 大阪のcafe roomには参加できたのですが(最高でした!)、
> 今回のモーターワークスには残念ながら参加できませんでした(涙)
> お忙しい中ですし、大変だと思いますが、臨場感たっぷりで表現力の際立ったライブレポは、
> (過去分の読み直しも含めて)いつも楽しませてもらっています。
> 自分は参加できませんでしたが、時を超えてのドリームライブ、
> 健ちゃんをはじめ、メンバーの皆様お疲れ様でした!そしてありがとうございました!


サンクスさん、うれしいメッセージthanksです!(まぎらわしい)
カフェルームの参加、お疲れ様でした。大変プレミアムな空間だったようですね。
MOTORWORKSは本当に時の河を越えてしまいました。これは夢ではなく現実なのです。
僕の筆力では、残念ながら彼らのライブの素晴らしさの8%ほどしか伝えられません・・・。
いつでも「びっくり電話」は皆様のお越しをお待ちしておりますので、ぜひまた遊びに来てくださいねー。

> ひろニクルさん、グローブ座のセットリスト公開ありがとうございます!
> いつもながら鮮やかなスピードですね!
>
> 残念ながら、今日のグローブ座には行けなかったのですが(カルカルもチケット取れませんでした)
> セットリストで曲名や曲の流れを反芻し、幸せな気持ちに浸らせていただいています。
> 特に個人的にも思い入れの深いブルージーンやTelephone Crazeは、夢のようです。
> ライブには参加できませんでしたが、臨場感溢れるレポートを拝見させていただいて再現してみます。
>
> ちなみに来年3月のライブはチケットも取れたので、今から期待に胸を膨らませています。
> あらためてになりますが、いつも豊かな表現力のレポート、ありがとうございます。
> 過去のもの(特に自分が参加したものは読み返すと必涙。。)も含めて、度々読み返しています。
> 今回のグローブ座レポートも当日のライブに参加するかのように楽しみにしております。


過分なるお褒めのお言葉ありがとうございます。嬉しいけど何だか恐縮しちゃいますね。
レポでも書きましたが、グローブ座はコンディション・選曲ともに非常に満足度の高い内容でした。
また、今回も撮影・録音OKということで、YouTubeではファンの方がアップロードしている動画を、
いくつも確認することができます。百聞は一見にしかず。僕の拙いレポより断然おすすめです(笑)
ツアーには参加されるとのこと、当日が楽しみですね。その前にタワレコインストアもありますね。



メッセージはお気軽にどうぞ。

黒沢健一::黒沢健一


Live at the Globe vol.Vl

2014.12.06

開演までの間、入口でもらったフリー冊子「DI:GA」に目を通していたら、
かつて健一先生も詞提供したことのあるミュージシャン中島卓偉氏が、
最近レンガに凝っているとの情報を発見。それなら良い先輩がいますよ!

:: レンガコレクション(黒沢健一オフィシャルサイト: feature) ※画像リンク切れ
:: NHK-FMでレンガフェチ発言(びっくり日記: 2008年2月2日)

6年目のグローブ座です。
公演名も「Live at the Globe vol.Vl」と、とうとうローマ数字だけになりました。
毎年あれこれ趣向を凝らした、少し実験的なライブで楽しませてくれますが、
今回はバンドとストリングスの共演。これまでのグローブ座公演では最大編成となり、
そういった意味では、ストリングス導入ライブの集大成、到達点という感じもしますね。

オープニングナンバーはL⇔Rの名盤「Land of Riches」から「TELEPHONE CRAZE」。
これはレア!きーちゃん曲だし。でもサビまで行ってようやく「あぁ、コーラスないのか…」と気付く。
少し寂しくなったけど、おそらくオーディエンス全員が脳内で補完したはずだからノープロブレムです。
しなやかなパーカッションが楽曲に活気を与えますが、間奏ではその表情を変え、ジャジーで奥行きのある音に。
いまさらながら岡井さんのドラムは変幻自在ですね。オリジナルキーで演奏されましたが、ラストサビの転調はなし。

健一先生の本日の衣装は、グレーっぽい三つ釦スーツ(微ラメ入り)に、上品な紫色のネクタイでした。いいですね。

2曲目は名曲「POP SONG」。
派手さ、意外性、劇場性は薄いのに、メロディーの輪郭からにじみ出てくるこの哀感こそが彼の真骨頂。
それだけ飽きがこない深みがある楽曲だといえます。それにしてもベースがうねるうねる!
この曲は録音によってベーシストが違うんですよね。配信限定のシングルでは遠山さん(?)、
「Focus」収録のアルバムバージョンではきーちゃんだし。そして今日のライブは山口さん。
それぞれ印象がかなり違うので聴き比べてみると楽しいです。ともあれベースが要の曲ですね。

ここでメンバー紹介。
「日本一のバンドメンバーを紹介します」という健一先生の言葉が仰々しくなく本当に自然で、
心からメンバーを信頼しているんだなぁ、と感じました。

「A Summer Song」を挟んで名曲「Scene39」。あらためてイマジネティブな歌詞が素晴らしいです。
今日のライブはほとんどオリジナルキーだったけど、この曲は少しキー下げてたのかな。
まぁ、初出のAppleStore銀座インストアライブから下げてたから、ライブでは元々このキーなんでしょう。

「Carry On」はシングルカップリングかつアルバム未収録で、いわゆる隠れた名曲の位置づけかと思いますが、
このあたりの「曲線的」な楽曲にハマり出すと、ほぼ間違いなく黒沢健一の世界から逃れられなくなります。

ギターのきくっちゃん以外は退場し、LaLaLaストリングスの麗しき4名がステージに登場。
藤縄さんと原口さんはLaLaLaストリングスのオリジナルメンバーで、以降も何度かライブ参加していますね。
ストリングスメンバーが着席するエリアの左右には透明なパーティションが設置されていて、
おそらくバンドとの音の混濁を避けるためだと思うんだけど、男性陣との不純な接触を防ぐ意味もあるらしい(笑)

というわけで、アルバム「Focus」から名曲「Silencio」。
2011年グローブ座ライブのSAX入りバージョンも素晴らしかったけど、
今回のストリングス効果は絶大で、透明なガラス細工のような美しい脆さが引き立つ名演でした。

慎ましやかなイントロから名曲「Mad Man Across The Water」。
(※毎回「名曲」と書くのが面倒だし、そもそも黒沢健一には名曲しかないので、以降は「名曲」と書くのは省略します)
いつもに増して気持ちよく伸びる歌声。それに寄りそうストリングスがこれまた素晴らしい。
間奏のバイオリンソロから、チェロへの見事な受け渡し!歌う先生の左手は常時「うらめしやポジション」で、
これはバラードで感情がグイグイっと込められている証拠なんですよね。

ここでギターきくっちゃんが退場して、替わりにキーボード遠山さんが登場。
シンプルなアレンジに叙情的なストリングスの「Grow」。楽曲の素晴らしさが率直に伝わります。
エンディングの長音で、遠山さんを見やるチェロ原口さん。
マエストロゆたかが大きく腕を横に振り抜くと同時に、音楽はスーッと中空に消え入るのでした。美。

バンドメンバーが全員登場し、ステージ上の人数はMAX。
L⇔Rのバラード最高傑作のひとつ「EQUINOX」が静かに紡ぎ出されます。歌い出しの低音からすでに感動的。
愁いを含んだクラシカルな雰囲気と、端正なストリングス・サウンドの調和に、熱いものがこみ上げてきます。

次に演奏する曲は、「20年くらい前の曲」で「夏にレコーディングしていたのに凝りすぎてリリースは冬だった」とのこと。
ハイ、このエピソードにピンときたら110番。L⇔Rファンなら瞬時に「あの曲」の帰還を予想できたと思います。
「いまはまた冬ですが…笑」とハンドマイクのまま、あの印象的なドラムイントロになだれこみます。

「君と夏と僕のブルー・ジーン」のフル演奏はおそらく1995年8月4日のBack To MONO 4 You(名古屋)が最後。
それ以降は、2002年10月16日のCRTイベント壇上で健太さんにそそのかされてワンフレーズを口ずさんだのみです。

「過去」を「現在」として享受できることの喜びをこれほど強烈に感じることは滅多にありません。
しかもオリジナルキーかつ誠実なアレンジで、まさしく僕が聴きたいと願い続けていた「ブルー・ジーン」そのものです。
間奏のストリングスのピチカートもバッチリ決まっていて印象的でした。
あと、この曲で先生が歌いながら足でリズム取ってたんですが、それがすごい正確でびっくり!(当たり前)

僕は、このファンサイトを開設してまもなく、好き勝手にディスクレビューを書き散らし、
「びっくりコンテンツ」の一部として公開しました。10年以上経ったいまあらためて読み返すと、
僕の感性・解釈が当時とは異なっているものもあり、あれこれ書き直したい衝動に駆られるのですが、
「君と夏と僕のブルー・ジーン」のレビューについては、いまも一言一句まったく同じ感覚のままです(以下抜粋)

聴き手は、一種の屈折した洋楽体験をすることになる。サビのメロディはThe Turtlesの“Elenore”、
「ジェリービーンズ頬張って」というAメロ頭がBeach Boys“Wouldn't It Be Nice”、
間奏では同じくBeach Boysの“Good Vibration”のベースラインを引用し、
テルミン風の音色までキーボードで再現するという徹底ぶり。
それらは、ありとあらゆる音楽を体内に刻印づけしてきた黒沢健一だからこそ可能なアウトプットだった。
しかしなにより驚くべきは、そのアウトプットが純然たるオリジナルティーを持った
“NOW THAT SUMMER IS HERE”以外の何物でもなかったことである。
これだけ濃厚な洋楽エッセンスを封じ込めながらも決してお仕着せにはならない、天才のみに許された高度な離れ技。

この曲はいままで一度もオーバーヘッド(再録音)されていないし、これからもその必要はないと思います。
数々の名曲を生み出してきた黒沢健一の代表的なメモリアルであると同時に、
文字通り「永遠の名曲」として揺るぎない普遍性をすでに原曲が獲得しているからです。

さて、ライブは「HELLO, IT'S ME」「DAY BY DAY」と、L⇔R後期の代表曲が続きます。
引き続きボーカルは好調ですが、バンドの音がソリッドなので、歌伴時にはストリングスがあまり聴こえませんでした。
今回、音が頭上を飛んで行くほど前方の席だったので、客席後方ならもう少しバランスよく聴こえたかもしれません。
それにしても圧巻のL⇔R4連打。彼らの音楽は独自の生命力を持ったまま生き続けていることを実感せずにいられません。

「DAY BY DAY」の直後、ステージ袖からスタッフが遠山さんにこっそり何かを手渡すのが見えました。
いよいよ「彼」が降臨する時間が近付いてきました。そう、彼の名は「ジャパネットゆたか」。
ファンを魅了する高音ボイスにはいっそう磨きがかかり、もはやお年寄りには聞こえない周波数に。
さらにジャパネットゆたかのお告げでは「グッズ全部買わないと帰りに扉が開かない」らしい(笑)
このコーナーの出来不出来で物販の売上はだいぶ違うはずだし、バンマスという仕事は責任重大だなぁ。
あ、それと今回のグッズではないけど、発売前のアルバム「LIFETIME BEST "BEST VALUE"」を
印籠のように客席に掲げていらっしゃいました。もうパッケージ完成してるんですね。紙ジャケ?

ライブはここから怒涛の展開を見せます。まずはバンドバージョンのアグレッシブな「Feel it」、続いて「So What?」。
先生の顎から滴り落ちる汗。岡井さんの殺人ビートでテンポのコントラストが強まり、動性が急激に増す終盤が聴きどころ。

「ジャパネットゆたか」→「Feel it」→「So What?」の熱量を残したまま、本日のハイライト曲「Chinese Surfin'」に突入!
ポップセンスとドライブするロックンロールが高いレベルで融合した最強のB面曲の登場に、
ほとんど衝動的に「立ちたい!」と思いましたが、残念ながらグローブ座はスタンディング禁止なんですよね。これは拷問。
間奏ではダックウォークらしきムーブでステージを左右に移動。とにかくステージ上のメンバーみんな楽しそう。



この曲のAメロに刻印されている、あの健一先生のデケデケギターを生で聴ける日が来るとは感激です。
僕、いままで何度も言ってますけど、先生は本当にギターうまいです。興が乗ったときは特に素晴らしい。
独自のドライブ感と表現力を持ったギタープレイをする人で、この曲でもそのセンスが見事に表現されています。

異様な盛り上がりの中、ソロデビュー曲「Wondering」へ。
ところがイントロで先生が歌に入れず「…ごめん、オレが悪い!」とやり直し。
ま、たしかにあのイントロの「♪ファンファンファンファン…」ってところは、
どこから歌に入ればいいかわかりにくいです。でも何年歌ってるんですか先生(笑)
この曲も久しぶりにオリジナルキーで。

本編ラストは、山口さんのウッドベースが優しく響く「Dreams」。
黒沢健一バンドの中では一番の新顔ですが、すっかり馴染んでますね。
その技術だけではなくステージングにも欠かせないキャラクターだと思います。音色も表情も豊かですし。
来年のツアーはバンドメンバーが一新されますが、山口さんだけが残留なんですよね。楽しみです。
曲終盤に長ーいブレイクがあったけど、無音直前にドラムのブラシが微かに音を出し「むむっ?」という顔をする岡井さん。

アンコールの拍手の中、ステージ袖から勢いよく駆け出してくる健一先生。
そのとき、コードに足を引っ掛けたのか、スタンドに触れてしまったのかよく見えなかったけど、
立てかけていたきくっちゃんのギターが倒れそうになるアクシデントが発生!
スタッフときくっちゃんが脱兎のごとく駆け寄り、事なきを得ましたが、
青ざめた顔で「寿命が縮みました…」と言うきくっちゃんに、「いやー、色々なことがあるねぇ」と完全に他人事の先生(笑)

名曲「遠くまで」は定番曲だけど、この日の演奏はこれまで聴いたどの「遠くまで」とも違うものでした。
やや言葉を走らせるように自在に歌詞を伸縮させるボーカルスタイルで、
ラフだけど苦し紛れのフェイクなんかじゃなく、強烈な魅力を放つ歌唱。
声もよく出ていて、ファルセットも力強く伸び、ピッチも巧みにコントロールされていました。最高。

アンコール2曲目は、現在の黒沢健一のアンセム的な楽曲となった「Rock'n Roll Band」。
元々ライブで披露されていた弾き語りバージョンの粘度と情念と饒舌さに魅せられていた僕は、
アルバム「Banding Together in Dreams」に収録されたスタジオバージョンを初めて聴いたとき、
バンドの演奏に歩調を合わせて、サラサラと音楽が流れていくさまに少し戸惑いを覚えました。
しかし、実際にライブでその演奏を耳にする度に、僕の不安や違和感は消えて無くなりました。
弾き語りであろうがバンドであろうが、漂う言葉の水面に見え隠れする「黒沢健一」という世界は同じだったのです。

万雷の拍手でダブルアンコール。ジャパネットゆたかの押し売りでメンバー全員が画伯Tシャツ着用。
6年目のグローブ座を締めくくる「PALE ALE」は荒々しく獰猛で、いつも以上に攻めてた!

そしてライブ中、僕は極めてシンプルな、あることに気が付きました。
先生がしっかり「口を開けて」歌っているのです。口が開いているからノドも開く。
2007年のソロ活動再開以降、太く渋い歌声へと変容していく中で、ボーカリストとして試行錯誤していたように思います。
うまく説明できないんですが、口を細く開いて、言葉を鼻からノドに落とすような歌唱法が目立つ時期がありました。
ノドが開いておらず、高音部が苦しそうで、キー下げのアレンジで披露される曲も多くなりました。

音楽について門外漢の僕が偉大なるボーカリストの歌唱についてあれこれコメントすることの不遜さは承知の上で、
あえて言いたいことがあります。今回のグローブ座公演のボーカルは、ここ数年では最高のコンディションだった、と。
完全復調のきっかけは、MOTORWORKS再始動だったのかもしれません(もしくは「BEST VALUE」レコーディング)
MOTORWORKSの新宿LOFTライブでは前へ前へと進む力強く歌声が印象的でした。
ビルボードは参加できませんでしたが、素晴らしいパフォーマンスだったとのこと。そして今回のグローブ座に至る、と。

そうそう、ライブ後にセットリストをまとめていて「こんなに曲少なかったっけ?」と思ったんです。
それだけ内容が充実していたことの証明なのでしょう。内訳を見てみると…



比較的初期ソロ曲は少なく、L⇔Rと近年のソロ作品の比重が高いことがわかります。
L⇔R連打の威力も相当ですが、個人的には「Focus」からの選曲が多かったのが嬉しかったですね。
正直、バンド+ストリングスという試みが、すべて完璧に成功していたとは言い難いけど、
形態とか形式とかバランスとか、すべて超越したところに健一先生は到達していました。

僕はこういうライブを観たかったし、こういう黒沢健一を観たかったんです。

+ + + + +

2014.12.6(Sat) 東京グローブ座
SETLIST

01. TELEPHONE CRAZE
02. POP SONG
03. A Summer Song
04. Scene39
05. Carry On
06. Silencio
07. Mad Man Across The Water
08. Grow
09. EQUINOX
10. 君と夏と僕のブルー・ジーン
11. HELLO, IT'S ME
12. DAY BY DAY
13. Feel it
14. So What?
15. Chinese Surfin'
16. Wondering
17. Dreams
EN
18. 遠くまで
19. Rock'n Roll Band
EN2
20. PALE ALE


■ DAY BY DAY/L⇔R


> ひろニクルさん、こんばんは。カルカルで探偵と化していたJunです。
> そういえば、ご本人と気づかずにお声がけしてました(笑)
> グローブ座ではお会いできませんでした。…多分;
>
> 素敵なレポありがとうございます。
> 何か本当に、音楽で心が満たされた素敵な時間でした。
> ひろニクルさんがおっしゃる通り「大人のための」というか、
> これなら、健一先生には無関心だけど弦楽器には詳しいうちの親に見せても
> 「音がいい!」ぐらい言ってくれるのではないかと(笑)
>
> 本当にこの日だけで終わるのは、もったいないですね。
> 私も、「また来年!」って、まさか12月??と思ったので
> アンケートに「新作を出さなくてもツアーをやって!!」とわがままを書きました(笑)


探偵Junさん、こんばんは。こちらのメッセージをいただいたのが今年の1月。
ほぼ1年が経ちましたがいまさらお返事すみません・・・(まだ覗いてくださっているのでしょうか)
Junさんの声が届いたのか、新作を出さなくてもツアーやりましたね!MOTORWORKSが(笑)
今年ももうカルカルライブを残して終わりですが、どうかJunさんも良いお年をー。

> ひろニクルさん今年もよろしくお願いいたします。レポ待っていました♪
> ひろニクルさんのレポというか文章が大好きなわたしは待ち焦がれていました。
> とっても楽しみました。ありがとうございます。
> てか、17:30に駅に着いた・・・くだりには笑いました、めちゃ焦りますよねー。
> わたしも5分前でしたから人のことは言えません。
>
> 個人的には今回のグローブ座、ブライアン・アダムスの「Summer of '69」がいちばんよかったです。
> 何やら涙がこぼれてしまいました。聴いたことがあるけれど誰の曲かわからず帰ってから調べてみました。
>
> おそらくひろニクルさんもご覧になったと思いますが、
> その後、YouTubeでこの曲のとても良い映像がUpされて、毎日楽しんでいます。
> 音質がとても良くないですか?まるでライヴ会場で聴いたそのままが再現されているようで。
>
> 健ちゃんもいいですけれど、ひろニクルさんはお元気ですか―(^v^)
> いつも心の中でひろニクルさんの幸せ・・・毎日いい気分で過ごせますように、
> 楽しいことがたくさんありますように、と祈っておりますの。わたしにとってはずーっと特別な人です。


こちらのメッセージをいただいたのもやっぱり今年の1月。お返事遅すぎて本当にすみません…。
でも温かいお言葉、本当にありがとうございます。嬉しいです。僕はなんとか(?)元気です。
ブライアンはブライアンでも、ウィルソンではなくアダムスのカバーは意外でした。絶品でしたね。
YouTubeは未確認だったので、いまさらですがあらためてチェックしてみたいと思います!

> ひろ二クルさんごぶさたしております。マキです。
> やーっ、ひろ二クルさん、大阪のカフェライヴ当選しましたー!
> 無理かもしれないとたいへん弱気になっていましたのですっごくうれしいです。
> このよろこびを誰に伝えればよいのかわからず、ひろ二クルさんに真っ先に伝えてしまいました。
> 楽しんでまいります(●^o^●)


マキさん、こんばんは。僕なんかでよければ喜び報告はいつでも遠慮なくどうぞ(笑)
お、5月のcafe Roomですか。プレミアチケット当選おめでとうございます!楽しまれたでしょうか?
噂によると、ものすごーくステージとの距離が近かったみたいですよね。文字通り「部屋」ですね。
セットリスト的にも、岩瀬敬吾氏との「One After 909」とか相当レアだと思います。聴きたかったなぁ。



メッセージはお気軽にどうぞ。

黒沢健一::黒沢健一


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